道中の惚気
「そろそろ出発するよー」
「はーい」
「それで、鈴さん、その名無一門の人々は神下町にいるのかしら?」
「いいえ、ここにいます」
「ここ?まさかあの、ヒドラが?」
鈴さんが大きく頷くと、皆を追って小走りで出口まで行ってしまった。
「あ!ちょっと待ちなさい!」
----------------------------------------------------------
「一方その頃神下町では」
「なんてナレーションもやらなければいけないとはラスボスも
大変だねぇ。ねぇ四楼?」
「ヴ、ヴヴぉ」
「うんうん、それもまたアイ〇ツだね」
「取敢えず、そこの名無一門の皆さん」
「山本錫、何故この様な事を!?」
「僕が人々を羅刹にする理由…それは、今まで蔑んできた
異能力者に自らなって馬鹿がドンチャン騒ぎを起こしてくれるのが
とても滑稽なんだよ。僕らを罵って来た人類への復讐さ」
「なんと傲慢な輩か!この場で戒めてくれるわ!」
「無駄無駄無駄無駄ァ!」
---------------------------------------------------------
キャラバンに再度乗車し、私達は神下町への道を急ぐ。
所長がどのような動きを見せるか分からない。だから、
急がなくてはーーー。
「何故所長はこんな事をやり始めたのかしら・・・・・・」
「雨音さんも気になりますよね?」
「実際鬼原蓮も気になっていた。そう、朝の便通が快く無くなる程に」
「口を慎め無礼者」
言い方は様々でも、その興味は全員が同じ方向にあった。
「どうして所長がああなったか、教えてくれないかしら?」
「まぁ、話は限られているんですけどね」
「あの後、名無一門の手を借りて因果律の研究を出来る
施設をやっと作れたんです。おまけに国の力も借りて」
ふーんと皆が相槌を打つ。鈴さんは話を続けた。
「ですが、国家もやはりその様な怪しい事はさせまいと
強攻策を取ったのです」
「その当時はまだ規模の小さかった研究所に監視管を忍ばせていたのです」
「監視管、と言いますと?」
「因果律の研究員として我々と研究している事を装ってこちらの
様子を調べ上げていたのです」
「それに囮の監視管まで寄越して」
「いやらしいやり方ね」
全員が首を揃えてうんうんと頷く。一見シュールだけれど
私達は一応シリアスな話をしている。
「それで、その監視管が佐々木 羅衣里と言うのですが、
錫は恋をしてしまったんですよ、彼女に」
「何ですって!?」
「なんて裏話だ、後で山本錫に言った時の顔を想像すると
快便になるなぁ~」
「口を慎め無礼者」




