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因果律のレイン  作者: テンペスティア
Rain of Causality Law
3/76

正の因果律

 「ふぅ・・・・・・」


 これで正式に雨音は因果律を持った羅刹と認められた。

 それは今まで憧れてきた事なのだがーーー。


 「この力で人は救えるのかしら?」


 雨音自身、あの時助けてくれた彼の様な羅刹になりたかった。その羅刹と言う

 通称に不相応な話しではあったが。


 フードコートで一休みでもしないとこの突然の状況は飲み込めない。

 先程母親に連絡して話は理解して貰ってはいたが、

 どの様にすればこの因果律は人助けに繋げられるのかーーー。

 雨音が深く考え込む。すると、後ろから自分を呼ぶ男性の声が聞こえた。


 「・・・あの、ちょっと良いですか?」


 如何(いか)にも自身の無さそうな中年男性が申し訳無さそうに話し掛けてきた。


 「えっと、どうしましたか?」


 雨音が問うと、男は検査スペースをチラチラと見ながら話す。


 「さっき見てたんですけど、あなた羅刹の方なんですよね?」


 彼の問いに雨音は頷く。


 「そう、ですけど・・・・・・」


 「お願いします!助けて下さい!」


 すると男は急に土下座をした。その姿に雨音も困り果てる。


 「え、突然一体・・・?」


 雨音が聞くと、彼はおもむろに自らの身の上を話し始めた。

 男は佐藤と名乗り、自分が借金取りに狙われている事を語った。


 何でも、その借金取りは羅刹で、友人に騙され肩代わりしてしまった

 借金を返して貰う為に度々現れると言う。


 「でも、何故私に?」


 「あいつ、ここの研究所に相談したら承知しないって・・・・・・」


 男の理由に雨音は首を傾げる。


 「それは虚偽では無いんですか?」


 「さぁ、分かりません」


 佐藤はそう言いつつも、雨音は正直自分の力を試したい、そして誰かの力に

 なれると言う証明をしたい。そう言う思いで簡単にも承諾した。


 「・・・・・・行ってみましょう」


 「本当ですか!?ありがとうございます!あなたの様なエ・・・いや

  女の子ならあの借金取りも油断するだろうし、頼もしいです!」


 「お構い無く。私で良ければ何でもしますよ」


 雨音はあまり良い雰囲気はしていなかったものの、何か分からないが確固たる

 自身がみなぎっていた。


 「何でも、してくれるんだね・・・・・・」


 男が呟く。が、その声は小さく雨音には聞き取れない。


 「今何か言いました?」


 「い、いや・・・何も?とにかく行きましょう」


 佐藤はそう言いつつ雨音を急かすと足早に外へ出る。


 その頃雨音には不思議な感覚が芽生えていた。

 メタフィクションと言った所だろうか。雨音の生きる世界とは異なる

 次元の人々の意識が流れて来る様な。

 その”異次元の人々の声”は、ソイツは怪しい。そう言っている様に雨音は感じる。

 

 だから、騙された振りをして、佐藤と名乗る人物と、恐らく共犯者である

 借金取り役の人間を返り討ちにする。と、雨音は策を考えた。


 こうなってしまえば誰の為でも無いのだが、

 彼らがまたこんな犯罪で私の様な人を増やす訳には行かない。

 雨音はそう考える。

 ただ偽善なのは頷ける事だが、どんな形でも、彼女はこの力を何かに活かしたかった。


 「ーーーさて、着きましたよ」


 暫く歩いた後、佐藤が廃ビルへ案内する。


 「ここは・・・廃ビル?」


 雨音が質問すると佐藤さんがはい、と答える。


 「借金取りとの取引を行う待ち合わせ場所なんです。このエントランスへ入るドアは

  そこしか無いからあなたはドアの影で如何(いか)にも、な風体の男をマークしていて

  下さい。待ち伏せて不意打ちでいきましょう」


 雨音はこくりと頷き、取り敢えず佐藤の言う通り怪しい男を探した。


 

 行動を開始してから約15分。少し前に現れた怪しい男を雨音は目で追い続ける。

 少し疲れの色を見せた雨音に佐藤は背後から一瞬で鼻、口をハンカチで押さえた。


 「なっ・・・!?」


 そのハンカチには、恐らくクロロホルムが塗布されていたーーー。

 雨音がそれに気付いた時はもう遅かった。強い睡眠作用によって雨音は

 気を失った。


 「眠っちまったか。かーっ、効くねぇ。おい兄貴!ターゲットが

  お寝んねしたぜ」


 佐藤が先程の男を呼ぶ。


 「おう、とっととヤっちまおうぜ」


 佐藤が兄貴と呼ぶ男が小走りでこちらへ着く。


 「こいつが大兄貴が言っていたガキか。確かにそそられるぜ」


 男が呼ぶ大兄貴とは、恐らく昨日の件の男だろうか。

 兎角男らは雨音の肢体を見つつ、涎を垂らす。


 「周りに羅刹が居ない事は確認済みですぜ」


 佐藤の言葉で男が雨音に近付く。


 「オッケー、それじゃあ、いただきまーーー」


 「羅刹ならいるじゃない。ここに」


 その時、雨音が瞬時に起き上り、彼らを睨む。


 「!?」


 「協力な催眠布で眠らせた筈だろ!1分も立ってねえんだぞ!」


 早速再起した雨音を見て佐藤と男が動揺する。


 「一応催眠させられた状態の対策を学んでいるのよ」


 服の汚れを落としながら雨音が自慢する。


 「何者だよ!まぁいい。正直俺が羅刹なのは紛れも無い真実だぜ!」


 「こうなったらテメェみてぇなガキ、俺様の筋力強化因果律、"パワフル"で

  凪ぎ払ってやるぜ!!」


 男が力を振り絞り、着用していたスーツを引き千切る。

 すると、元々逞しい筋肉がさらに肥大化する。


 しかしこの状況に置いても雨音は冷静さを保っていた。


 「そう言えば私の因果律ついての診断書があったわね。全然

  確認してなかったわ」


 雨音はポケットから小冊子を開く。その余裕を見せた理由、それは

 自らの因果律に対して妙な確信があったからだ。”これは使える”と。


 「何悠長な事言ってんだよ、パワーーー!?」


 男がこちらへ突撃しようとした瞬間、雨音が男を指差す。


 「"アンブレラ"、対象に防御バリアを貼ってロックオン、ね」


 そう言うと、羅刹の男に白いオーラが付着する。


 「何だこりゃ!クソ、ターゲットがたまたま羅刹だったのが仇になったか!」


 「もう一人対象に出来るわね」


 同じく佐藤にもアンブレラを発生させる。


 「うわっ、俺も!?」


 「何怯んでんだ、たったこれだけ、このままぶっ叩いてーーー」


 男が腕を振り上げたその瞬間だった。


 「"レイン"!!」


 雨音がそう叫ぶ。

 すると、廃ビルの天井から槍が転送され降ってきた。


 その槍は男達に命中、している様に見えるがアンブレラの能力による

 防御で攻撃は受けない。けれど、それは視覚的にダウンさせるには十分だった。


 「ひぇぇぇーっ!」


 「うわぁぁーっっ!」


 彼らは目に見える槍の勢いに負け、気絶してしまった。


 「ふふ・・・軟弱ね。舐めないで頂戴」


 雨音が気絶している彼らの頬に一発パンチを食らわせる。

 そして、研究所に通報する。


 「もしもし。因果律を乱用する無法者を見つけたので至急"回収"と

  検挙お願いします。場所はーーー」


 

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