過去の語り部
キャラバンが出発して暫く、一行が東名高速道路に入った頃、
鈴がふと呟いた。
「そういえば去年、何があったか話してませんでしたね・・・」
「去年?研究所の爆発事件の事、よね?」
雨音が去年と聞いて思い付いた件を思いだす。
「そうです。今の内に、事の顛末を伝えておこうかと」
「確かに、アーカイブにも詳しい情報が無かったわね。
その真実、教えてくれるかしら」
雨音が頼むと鈴が快く話す。
「ええ、移動中の暇潰しにはなるでしょうかねーーー」
ーーーそれは十二年前、鈴が四歳の頃に遡る。
その時鈴達家族は亀岡市まで旅行に行ってた。
鈴と兄、錫は亀岡の土地で有名な鬼門山と呼ばれる場所へ訪れていた。
そこにて鈴達は因果律と邂逅したのだtった。
鬼門山の頂上近く、そこには古い祠があり、その近くには
大きな井戸があった。
探検と称して錫はその祠の近くを散策し始め、錫もそれに着いて行く。
「おっきい井戸・・・・・・」
鈴が井戸の周りを見渡す。
「ねぇ鈴、ここ開けてみようぜ」
錫はその無邪気な好奇心からかその鈍重な井戸の蓋を開けてしまった。
開けた井戸の中を覗くと、下には青い光が照りつけていた。
「何これ・・・」
その中の光を錫が注視していると、突然鬼門山が大きく揺れ始めた。
すると、その井戸の中の光が溢れ出す。
「うわぁぁっ!!」
錫はその光の中に飲み込まれ、途端気を失ってしまった。
鈴はすぐさま錫を背負い、家族の元へ戻る。
その直後に井戸の方向を見ると、雨の様に光が降り注いでいたのが
鈴の印象に残った。
家族にその事を話たが誰も取り合ってくれる人はいなかった。
翌日、目が覚めた錫に事を説明すると、とても驚いてたが、
二人は恐らくこれは夢なのだろうと納得した。
しかし、それから四年後の事だった。
十四歳になった錫は不慮の事故によってこの世を去った。筈だった。
医師によって死亡鑑定が出た直後、錫が謎の復活を遂げたのだった。
この一般的に”奇跡”と呼ばれる事象がこれからの彼の運命を大きく変えた。




