出陣
山本錫らが向かう京都へ出発の日、早朝。
あらかじめ準備を終えていた雨音達がインターホンの鳴った玄関に出向くと
鈴、そいて鬼原が立っていた。
「おはよう二人共。今から出発するよ」
鬼原がサムズアップをする。彼女のテンションにも随分なれた雨音が彼女に
サムズアップを返す。
「おはようございます皆さん、私達のキャラバンに
ヒドラとナルラトテプを待たせています」
鈴が皆を車まで案内する。
「ヒドラとナルラトテプ?」
雨音が問う彼らはセフィロトの幹部。
彼らも資料に詳しく明記されていなかったので雨音は興味を示す。
「恐らく今回が決戦になるでしょう。我々の幹部を総動員する程に数は必要です」
彼女に先導されながら雨音達は家の近くに止まっているキャラバンに
乗り込む。
「紹介します、こっちがヒドラ、そしてナルラトテプ」
鈴の示す方向にいる幼い見た目の少女がヒドラ、
がっちりとした体躯のハンドルを握っている大男がナルラトテプ。
「あれ?こんな女の子もセフィロトなんですか?」
響がヒドラを見て驚愕する。
「はい。何故なら彼女は特別なんですよ」
鈴は自慢げに言った。それに対して響がさらに問う。
「特別?」
「ヒドラは出身が神下町で、とても顔が利くんですよ」
鈴はヒドラに対し”ねー”、と伺う。しかし彼女は気に食わない様だった。
「曇天、あまり我の事に触れるな」
ヒドラが鈴を睨むと鈴は思わず謝罪する。
「ああ、すみません」
「何か生意気な子ね」
雨音がヒドラを背に呟く。
「それ佐伯君が言っちゃう?」
生意気、と言う事に関して雨音の心当たりを鬼原が諭す。
兎も角雨音達はつらつらと駄弁りながらも、シートベルトを閉める。
「準備万端だね、それじゃあ出してくれ!」
鬼原が言うとナルラトテプが答える。
「ああ」
そしてナルラトテプがギアを弄る。
「出発!」
鬼原が叫ぶが響はそれに同意しない。
「なんで鬼原さんが仕切ってるんですか・・・」
そうして雨音達を乗せたキャラバンが動き出す。
山本錫が達成せんとする全世界の人間を羅刹にする計画。
それは未だ雨音達しか知らない。だから、彼女らが行くしかない。
人の命を省みない野望を止める為行く。
神下町へーーー。




