訪問者
「それじゃあいただきまーーー」
雨音達が晩御飯を頂こうかと息巻いた丁度その時、
インターホンのチャイムが鳴り響いた。
「タイミング悪いですね」
響が怪訝そうだったので雨音が名乗りを上げる。
「私が見て来るわ」
雨音は席を立ち、玄関へ足を運ぶ。
ドアを開けると、そこには若い女性が立っていた。
「えっと、どちら様ですか?」
全く知らない人の訪問と言う事で雨音は狐につままれた様な顔をする。
「あなたが佐伯雨音さんですね!」
女性は雨音を見て言った。
「だからどちら様・・・?」
雨音の困惑している姿を見かねた鬼原が玄関に立つ彼女をフォーカスした途端、
あっ、ととてつもない声を上げ、彼女に歩み寄った。
「鈴ちゃん!」
鬼原がそう叫ぶ。
「蓮ちゃん!」
鬼原が”鈴”と呼んだ彼女も鬼原の名を呼ぶ。
そして二人がひしと抱き合う。
「もしかして、貴方が”協力者”?」
雨音が問うと彼女は首を縦に振った。
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鬼原が彼女を迎え入れると雨音の母が厚く歓迎する。
一方響は夕飯に有り付けずうずうずしている。
「こんな事もあろうかとご飯もう一人分くらい用意してるわよ!」
あともう一人食べさせる相手がいたと言わんばかりに飯を盛る。
「頂きます」
鈴が手を合わせ、早速飯を頂く。それを見た響は”アイドリング”を終えて、
飯に食らいつく。
「食べながらで良いのだけれど、貴方は何故この家へ?」
雨音が彼女に問う。
「蓮ちゃんに呼ばれて」
「連絡した後こっそり呼んじゃった」
鈴の答えと共に鬼原が同じく食事しながら事情を語る。
「そうじゃなくて目的の方よ・・・」
鈴の的を射ない回答に雨音は頭を抱える他無い。
「あっはい。今日伺った目的は我々”セフィロト”があなた達に伝えなければ
いけない事があるからです」
鈴がかしこまって言った。
「セフィロト?我々?」
雨音が彼女の正体を予想だにしながらも首を傾げる。
「私の”二つ名”を上げれば話が通るでしょうか」
鈴が食事を終え、手を合わせる。
「まさか、あなたやっぱり!?」
鈴の表情は急に固くなり、一言、雨音に伝える。
「”曇天”、です」




