発見と発展
彼が”消えた”後、しばらく辺りを捜したが結局見つけられなかったので一旦
帰宅する。雨音はただいま、と言いつつ玄関を開けると、母親が飛び出して来た。
「雨音!今までどこにいたの!?馬鹿馬鹿馬鹿!」
現在8時半。
気付くと、警察まで来ていた。
その後、雨音はもう冷めた晩御飯を食べながらも母親に説教される羽目となった。
されども、明日は日曜日である。じっくり因果律に関して調べた方が良いかも知れないと
雨音は明日に備え早めに床に着く。
「ーーーふぁぁ」
気付けばもう朝になっていた。考え事をしている内に眠ってしまっていた様だ。
「さてと、これからどう調べようかしら」
雨音はすぐさま研究所まで行く仕度を整え、玄関で靴紐を結ぶ。
「何?お出掛け?昨日の事もまだ聞けてないのに・・・」
雨音のその姿を見掛けた母親が雨音に問う。
「ごめんなさい、ちょっと因果律の事を調べに」
振り向き様彼女が言うと母親がさらに質問する。
「”研究所”まで?」
「ええ、あそこなら父さんの事が何か分かるかも知れないわ。今日は遅くならないから」
雨音が行ってきます、と言いつつ出ていく。
玄関を出てもなお手を振り続ける母親に笑顔で手を振り返す。
「・・・まずは研究所でアーカイブでも見ようかしらね」
思い立ったら吉日と言わんばかりに雨音はすぐさま最寄りの駅から電車に乗り、
研究所の位置する御徒町駅で降りる。
中央通り沿いに少し歩くだけで見つかるその巨大な施設には、
勿論研究施設、羅刹の為の特別管理病棟、図書館の様なアーカイブエリア、
因果律に覚醒しているか診断出来るブースやフードコートがある。
まず向かうのはアーカイブ。雨音はまず"セフィロトに関して"の資料を読み始める。
セフィロトーーー。去年、この研究所にて爆発事故、否・・・。
事件が起きた。その時、それを計画していたのがセフィロトと呼ばれる組織。
彼らは残存した研究員達に組織名、幹部の構成、今回の爆発の動機を語り
消え去った。
幹部の構成はセフィロトのリーダー、曇天と戦闘要員のナルラトテプ、
ヒドラ、そして作戦参謀と言われているダゴン。
この時曇天は声のみ、ダゴンは姿を表さないという形を取っていた。
「一体何の為なのかしらね。顔を晒したくない、のかしら・・・」
曇天、そしてダゴンとは一体・・・・・・?
しかし今はセフィロトに関する事よりも雨音が向かうべき場所がある。
「こちらで羅刹に覚醒しているかのチェックを承っていまーす」
端から聞けば妙な風に聞こえるが、この研究所に協力的な羅刹を
発見することがこれからの因果律の研究の発展の要でもある。
この地道な作業が人々に安心をもたらす。
それにこのチェックを受けるとフードコートの無料券が貰える。
「診断お願いします」
雨音が話し掛けるとそこにいた研究員が準備を始める。
「はい。20分程で完了します」
このチェックというのも、研究所が独自に調査した羅刹の共通点、
"観点の方向性"が違うという事。
つまりは、こことは違う人間の意思を感じ取れるか、と言う事が判断材料となる。
「要は読者に挨拶が出来るかって、事ですか?」
「読者って誰ですか?」
研究員が問う。
暫くするとその検査が終了する。
結果は、因果律の反応・・・・・・陽性。




