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因果律のレイン  作者: テンペスティア
Rain of Causality Law
19/76

怒り

 「貴殿ら、何のつもりザキ?まさかそれザキの仕事ぶりに

  クレームザキか?」


 ヤマザキは銃口を一旦下げ、避難誘導を進める雨音達に言い放つ。


 「どの様な立場であっても、それが偶然の産物でも・・・。貴方は一人の尊い命を奪ったわ。

  …それが解せないのよ!そして、それを依頼したのが所長と言うのもね」


 雨音がヤマザキを指差し、叫ぶ。

 しかし彼は雨音達をひけらかす様に言い切った。


 「尊い命、その言葉に異論は無いザキ。そして、その犠牲を糧にするのザキ。

  それが”試し打ち”でもな・・・。ともかくダゴン、

  山本錫の兄貴の依頼通り貴殿を殺すザキ!」


 ヤマザキがそこに倒れていた女性の命が途絶えた事を悟り、頷く。


 「ねぇ貴方、試し打ちとはどう言う・・・?」


 雨音は彼が言った”試し打ち”と言う言葉を(ただ)す。


 「それは決まってるザキ。それザキの力を誇示する為ザキ!」


 ヤマザキが眉間にしわを寄せ、そう言った。

 

 この男を雇った所長は一体何を考えているのか。それ程までにダゴンを始末したかったのか。

 雨音らはそう考える。

 兎も角、少なくとも彼は人の死をいとわない程の・・・人間の屑。


 「アンブレラ」


 雨音がヤマザキをターゲットに詠唱する。


 「ん?体がほわぁっと何かに包まれるザキ」


 そしてそれに伴って更なる因果律を放つ。


 「レイン!」


 雨音が手を大きく振り上げ、下げる。そして


 「当たんないザキ!はひゃひゃ・・・・・・!?」


 しかし彼の体はアンブレラによって防御される。だがレインは、唯一守られていない銃を狙う。

 あの男と違って雨音の因果律は人を殺めない。


 「あああっ!それザキの()が!」


 彼が泣きながら跡形も無くなってしまった拳銃を見ている。


 「大人しくして。貴方は奪った人の命の分まで、罪を償うのよ!!」


 雨音が刺さっていたレインを一本引き抜き、彼に突き付ける。


 「償う、か・・・・・・そんな事をするのは”ただの人間”だけザキ」


 ヤマザキが不敵な笑いを浮かべた。


 「あなた、一体何を言ってーーー」


 ヤマザキの吐き捨てた言葉の意味を雨音らが理解するのに一秒と掛からなかった。

 彼の右腕は一瞬で巨大な銃口へと変化した。


 「兄貴のお陰で手に入れた因果律、”シルバーバレッド”!!邪魔者は死ぬザキ!」


 彼の右腕から発現した巨大な銃口は雨音に向き、チャッ、とリロードの音が響く。


 ・・・・・・死。


 雨音が以前感じたこの感覚。

 彼女が心の中で走馬灯を走らせ思う。

 嫌だ、死にたくない。私はやっと私自身の幸せを

 見つけらたのに・・・・・・と。


 そして、発砲音がフロア中に響き渡る。


-------------------------------------------


 「・・・・・・あれ、私は一体・・・・・・?」


 雨音の意識が戻る。確かさっき私は撃たれた筈、と思いつつも周りを見渡す。


 「雨音さん!大丈夫ですか!?」


 響が私に抱きつく。


 「佐伯は意識を取り戻したか・・・だがダゴンは・・・・・・」


 晴斗は雨音の無事に安堵したものの、そこで倒れているダゴンに視線を向ける。


 それを見た雨音が先の事を思い出す。雨音を庇ったダゴンは胸に銃弾を受けてしまった。


 「ダゴン!」


 雨音は銃撃の反動で向こうに追いやられた彼に向かって走り出す。


 「そうは行かないザキーーー」


 「アナザー!・・・・・・鍛冶ッ!」


 雨音が進むのを阻もうと画策するヤマザキをアナザーが食い止める。

 その抗いの甲斐あって、先の発砲によって吹き飛ばされたダゴンの

 元へ辿りついた。


 「ダゴン!貴方、何故私を・・・・・・」


 雨音が彼の手を取った。しかし、何故だか雨音はその手に懐かしさを感じる。


 「雨音、お前が、鍵だからだ・・・例えこの命を捨ててでも、お前を

  守る義務があるんだよ・・・・・・生きろ、雨音・・・お前なら、止められるさ」


 「い、一体何を・・・・・・」


 ダゴンは虫の息ながらも雨音に語りかける。


 「研究所、いいや・・・山本錫、あいつの野望を・・・止められるのは・・・・・・」


 そこまで言うと、彼が血を吐き、装着していた仮面の裏から血が滴る。


 「ダゴン、ダゴン!」


 雨音が彼を揺すりながら名を叫ぶ。


 「最後に・・・母さんに、ごめんって」


 その言葉を最後に、ダゴンの体は動かなくなった。


 そして、雨音が彼の仮面を外すとーーー。


 雨音の見知った人物、雨音の父親・・・。雨音が探していた張本人。

 彼女にはその状況を理解しきれない。

 ただただ、涙が溢れ、零れ落ちる。


 「あれ、父、さん?嘘。父さ・・・父さぁぁぁぁぁん!!」


 雨音が冷たくなっていく彼の体を抱き、泣き叫ぶ。


 「あ、はは、依頼達成ザキ!!」


 ヤマザキが心無い感嘆の声を上げる。

 その叫びに、雨音の中の”何か”が、崩れ去るーーー。


 「・・・・・・許さない。許さない・・・許さない!許さない!!

  ・・・殺す!」


 雨音が再びヤマザキに手をかざす。


 「アンブレラ!!」


 指定する防御エリアは、ヤマザキではない。


 「体がぶわぁっと何かに”蝕まれる”ザキ!」


 彼の体の周囲を黒いオーラが覆う。 


 「砕け散りなさい、レイン!」


 彼の体目掛け数百本の槍が飛び交い、その四肢を引きちぎる。


 「ぎゃあああああ痛いザキぃぃぃぃぃ!!」


 その姿に他の仲間達も顔を強張らせる。


 「雨音さん・・・」


 今の雨音には響の声も届かない。


 「貴方はこれで終わり。無論アンブレラは張らないわ」


 雨音はヤマザキに向かいみたび手をかざし、レインを撃ち出す

 態勢を整える。


 「死になさい」


 雨音がその手を振り上げようとした瞬間だった。


 「・・・・・・なんてね、ザキ」


 雨音がレイン、と口にしようとしたその時、体を槍に貫かれ、正に蜂の巣状態の

 ヤマザキがにや、と笑う。


 「!?」


 雨音が思わずその手を止める。

 途端、山崎の体が再生する。


 「へへへ、死にやがれ!」


 そしてその銃口は再び雨音に向くーーー。

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