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因果律のレイン  作者: テンペスティア
Rain of Causality Law
16/76

お出掛け

 程無くして、全生徒に帰宅指示が言い渡された。

 それに対して喜んでいる生徒もいたものの、今回の件に巻き込まれた

 クラスメイトらにとっては恐怖のみだった。


 一方雨音と響は校長に呼び出された。恐らく因果律に関する事だろうか。

 

 「それで、君達が羅刹だった訳だが・・・・・・」


 案の定、校長室に通された雨音達は因果律の事について問い(ただ)される。

 そこで雨音が事の経緯を語ろうと口を開いた時だった。


 トントン、と軽いノックの音と共に校長室の扉が開く。

 失礼します、と挨拶をしつつ現れたのは所長だった。


 「おお、あなたが研究所長の山本さんですか!では早速二人と一緒に話を・・・・・・」


 校長が所長にそう頼もうとすると所長はいえ、と口を挟む。


 「話は私のみで結構です。彼女らには頼みたい任務があるので。

  あ、二人は帰宅後研究所の僕の部屋にいてくれ」


 彼はそれだけ言うと母上が心配するから、と雨音達を先に帰す。

 彼女らはそれに促されるまま、帰宅する。



 「・・・・・・任務って、セフィロトの件ですかね?」


 響はそう質問するが、雨音が恐らく違うわ、と否定する。


 「それにしては飄々とした物言いだから、多分何か別の任務だと思うわ。

  取り敢えず帰路を急ぎましょう。また母さんに怒られるわ」


 響ははい、とだけ言い、雨音らは家への歩を進める。


 「ただいまー・・・・・・」


 雨音と響は家へ到着し、挨拶を済ませる。

 と同時に雨音の母が全速力で私達へ駆け寄る。


 「二人共!?さっき学校から連絡があって・・・、ああもう!怪我は無い?

  怖かったよね?もう大丈夫だからぁ!?」


 母親の異常な焦燥に雨音も少したじろぐ。

 兎も角、私達は一応研究所で指示を仰がなければいけない。

 その旨を雨音は母に伝える。


 「ええ?あんな事があったのに?所長は一体何を考えてるのかしら?」


 確かに雨音の母親の言う通りだ。所長の言葉の真意が雨音にはいまいち掴め

 ていない。この状況下で雨音達を招集したり、さっきの男が言っていた言葉・・・。

 雨音は深く考え込む。


 「雨音さん、取り敢えず行ってみましょう」


 響の言葉に母さんは怪訝そうな顔を浮かべるが、響は母さんを諭す様に

 微笑み、言い放つ。


 「心配要りません。雨音さんは私がお守りします!」


 彼女の自信に満ちた表情に雨音の母がさらに問う。


 「そう?」


 響はこくこくと大きく頷く。その姿を見て、流石に雨音の母も折れる。


 「しょうがないわねぇ、響ちゃんが言うのなら・・・。気を付けて言って来てね」


 母親の許諾を聞き、雨音らは急いで着替え、外へ出る。

 最寄りの駅へ15分程歩き、在来線にて御徒町まで乗車。

 御徒町で下りつつ、少し歩く。すると研究所が見えて来る。


 そこからさらに二人は所長室へ向かう。

 

 「そう言えば、この前とは行く経路が違うのね」


 雨音が辺りを見渡し響に聞く。


 「ええ、日曜日に行ったのは客人用で、通常の任務の際はこっちを使うんです」


 響の説明に思わずへえ、と声が漏れる。


 「付きましたよ」


 響が眼前の扉を開く。そこには、晴斗と鬼原が各々椅子に座していた。


 「あら?二人もいたの?」


 雨音が問うと、晴斗が無愛想に答える。


 「ああ。一応任務の説明だからな・・・。俺達も呼ばれた訳だ」


 彼の言葉に納得し、雨音らは所長が到着するのを待つ。

 程無くして、所長が現れた。


 「やぁ皆。待たせたな!」


 所長が声を野太くして言った。


 「うむ、錫ーク」


 所長と鬼原の問答に場の空気が一気に凍える。

 大の大人が見せて良い場面では無い。


 「あんたらいい加減にしろ。そして任務に関しての通達を早くしてくれ」


 (よわい)19の青年にどやされた後、所長が任務を下す。

 それは・・・。


 「みんなにショッピングを楽しんで貰います!場所はセヴェク奥東京、

  日は明日の九時!雨音ちゃん宅へ車を出してね!」


 その急な指示に雨音は驚きを隠せない。


 「所長、一体どう言う意味なんですか!?説明して下さい!」


 響が所長に問い質すが、所長はまともに取り合わず、

 用事があるから同行は出来ないとだけ伝え、所長室を後にする。


 「・・・意味が分からないな」


 晴斗が渋い顔で言う。この状況下、雨音は思い出した事を呟いていた。


 「羅刹の力・・・裏切り者・・・」


 雨音が突如呟いた言葉に鬼原が反応する。


 「どうしたんだい佐伯君?」


 それに対して雨音はさらに口にした。


 「所長はやはり裏切り者かも知れないわ。彼は1年前のセフィロトの騒動に

  関わっている上、さっき学校に羅刹が現れたのよ。その羅刹の男は

  彼によって因果律を手に入れたと言ったわ。そして、明日は用事があると

  席を外した・・・」


 「何かあるってか?」


 晴斗が雨音に問う。それに答える様に雨音は首を縦に振る。


 「考え過ぎだ佐伯。取り敢えず明日楽しむ事を考えた方が良いかも知れねえ。

  お前にとってはな」


 彼の言い方に雨音は怪訝そうな顔を見せる。 


 「・・・済まなかったな。ただ、気負って欲しくねえだけだ」


 そう言い残すと、晴斗まで所長室を後にする。

 彼が言った後、鬼原が苦笑しつつ溜め息を吐く。


 「彼、不器用なんだよな。本当は長谷川君も巻き込みたくないと思っているんだが、

  羅刹と因果律によって情緒の乱れた日本を救う指名とダブっちゃって、

  彼自身悩んでいるんだよきっと。あ、この話内緒ね。これ言ってると照れるから」


 鬼原も踵を返し、元の作業場所へと戻る。

 彼女の背中を見て雨音は今まで彼女を誤解していた、と言う観念が生まれた。

 きっと鬼原は人に対しての優しさに照れてひょうきんさで隠していたのだろうと

 雨音は解釈する。


 「・・・・・・響さん、私達も帰りましょう」


 響が頷くと、雨音も帰路へと立つ。

 

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