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因果律のレイン  作者: テンペスティア
Rain of Causality Law
14/76

転校

 翌日。

 今日から響が雨音のクラスに来る。

 その事が楽しみで雨音は昨夜あまり寝付けなかった程だ。

 そそくさと学校の支度を整え、響と共に登校する。

 しかし、響は学校の説明の為一旦職員室へ赴く。


 雨音は億劫ながらももう暫くの辛抱と思いつつ教室にて響が来るのを待つ。


 暫くすると、担任が教室へ入ってきてホームルームを

 開始する。

 その中で転校生、つまり響を紹介する。


 「えー、このクラスの新しい友達を紹介しまーす」


 担任の気だるそうな声で長谷川さん、と

 呼び出される。それに答え教室の扉を開けると、響が軽く会釈をして

 入って来る。


 それと共に教室がざわつく。

 それは可愛いだの何だのと下等な会話で、正直雨音にとっては耳触りだった・・・。

 その声は雨音の怒りを募らせる。

 その時だった。


 「黙れーーっ!!」


 その時、彼らをその一言で黙らせたのは響だった。


 「人が紹介していると言うのに、その態度は無いですよ!

  あなた達がお喋りしているせいで困っている人がいるんです!」


 彼女の説教で周りのクラスメイトが黙る。

 先生もその姿に感心する。


 「・・・と言う訳で名前は長谷川響と言います。外神田の方から越してきました」


 場が収まった所で響が至って冷静に自己紹介をする。

 

 「皆さんよろしくお願いしますね」


 生徒達がはぁ、と気の抜けた返事をする。

-------------------------------------------------------


 ホームルームが終わった後、雨音の隣の席、つまり響の所には

 大多数の生徒が詰め掛けていた。


 彼女の好物とか前の学校の事だとか、響の事を洗いざらい聞く。

 彼女がさっき訴えた事を称賛する声も聞こえる。

 一方男子は響への好意を抱く人も現れている。


 しかし、彼女を良しとしない生徒も中にはいた。


 「あの転校生マジ何?」


 「調子乗ってるんじゃね?」


 それは言わずもがな以前雨音をいじめていたいわゆるグループだ。

 まさか転校初日から突っかかって来るとは流石の雨音も思わなかった。

 いつぞやの如く響が気に入らない様で、散々な陰口を叩く。


 しかし、問題はそれでは止まらなかった。


 「・・・今何か言いました?」


 あろう事か響の方から彼女らへ突っ込んで行ってしまった。

 陰口を囁いていた女子達も面喰って逃げて行ったが精々場所を

 変えただけだろう。


 「待って下さいよー!」


 すると響は彼女らを止めようとした。


 「ちょ、ちょっと響さん!?」


 雨音は驚愕する。

 さらに響は女子達を追い掛けて行った。まさか陰口を言われているのに気付いていない

 かと思う位だった。

 取敢えず雨音も彼女らを追う。


 そして女子達は校舎裏で”秘密会議”を執り行う筈だったのだろうが、

 当の本人(ターゲット)を連れてきてしまうという算段違いに最早彼女らも呆れている。


 響のその天然さ、社交性が受けたのか知らない内に打ち解けていた。

 彼女らは響を交えお喋りを始めた。そこで話題に上がったのは・・・。


 「ねえ長谷川さん、あなたの隣の佐伯さん、どう思う?」


 これは恐らく思考誘導(マインドコントロール)の類か?

 こうやって相手に共有等を求め頷かせる。そうやって次第に悪者を決めつける。

 分かりやすくて陰湿だ。


 「アイツって本当根暗だし、いっつも 何考えているのか分からないんだよね」


 一人の女生徒が語り出す。それに対して響はええ、としか答えない。

 その言葉がどの様な意味を含んでいるのか雨音は推し量れない。

 それに、雨音自身響に本当がどう思われているかを知りたかった。

 と言った訳で暫く彼女らの会話を聞く事にした。


 「それでさぁ、アイツ不審者に襲われて警察沙汰になった事もあるらしいよ」


 早速話が本題に流れる。

 響はそれを聞いてもものともしない。


 「あの子そうやって襲われたーって話にするんだけど?

  ”自分可愛いから”アピやめて欲しいんだけど?」


 別に雨音にそう言うつもりは無いのだが彼女らは平気ででっち上げる。

 すると、やっと響が口を開いた。


 「あなた達は勝手な憶測でそう言いますけど、不審者に襲われる事が

  どれだけ怖いか分からないんですかね?」


 響は全員を左から順に指差し、言い放つ。


 「皆さんには人の気持ちが分からない様ですね。そんな人達となんて

  会話は出来ません」


 そう言い残すと、響は(きびす)を返し、捨て台詞を残す。


 「最後に、雨音さんはとても強くて優しいんですから」


 そこまで言うと呆気に取られた女生徒達を背に、響がこちらへ来る。

 そこで、雨音に話し掛ける。


 「行きましょう雨音さん」


 響がそう言い雨音の袖を引っ張る。


 「いつから気付いていたの?」


 彼女は雨音が隠れて見ていた事を気付いていた様なので雨音が問う。


 「いや全然気付きませんでした!帰る時にたまたまそこにいたので!」


 照れくさそうに響は言う。


 「まぁいいわ、戻りましょう・・・。1時限目は遅刻だけれど」


 初日から遅刻した事実を知った響の顔は見るに絶えなかった。

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