帰宅
ご飯も食べ、リビングにて雨音達が談笑していると、
けたたましくドアチャイムが鳴り、来客を伝える。
「こんばんわ、迎えに来たよ荻君。あとホラ、長谷川君の荷物」
鬼原が運んできた荷物はやけに少なかった。
最初はまだあるのかと思ったのだけれど、そうでは無い様だ。
この荷物が響の息苦しさを物語っている様だが、それを見た雨音の
不安を壊す様に響はその荷物を受け取り嬉々としている。
鬼原が軽々しく挨拶を交わす。
そして晴斗は帰宅する準備を整え、響は荷物の置き場所を
雨音の母と相談している。
「お邪魔しました」
晴斗がそう言いつつ出て行く。
二人が帰っていく姿に雨音らは手を振った。
「雨音、寂しい?」
雨音の母が聞く。
「・・・・・・そうね、寂しいわ。でも・・・この寂しさを知れた事を
嬉しく思うわーーー」
雨音が遠くを見ながら言っていると、唐突に響が”突っ込んできた”
「雨音さん今日一緒に寝ましょーっ!」
響が雨音の両肩を掴み、甘えるので困りつつも雨音は承諾する。
雨音の母はその様子を見て、少し笑っていた。
「そこは笑う所じゃないわよ」
「嬉しいのよ」
雨音の言葉に雨音の母はそう答える。
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一方晴斗、鬼原らは帰路への道にて話しを交わしていた。
「ところでだ、
さっきの所長の件、話の続きを聞かせろ」
晴斗が鬼原に強い口調で問う。
「そういえば敬語無し?テンペスティアのタイプミス?
これはぁひどいなぁ」
んな訳が無い。多分。
「ちげぇよ、久々に見たアンタの口ぶりに愛想が尽きただけだ。だから、
セフィロトと所長の事を教えろ」
晴斗が苛立ちながら用件を続ける。
「分かった分かった。兎角続きを話そう。以前起こった
研究所の爆発事件。あの時の犠牲者はゼロ、拉致されたのは
鈴ちゃんと四楼さんのみ」
鬼原が運転しながら話を続ける。
「アンタの話に合わせると、所長の実の妹が兄貴殺しに加担している
事になるぞ」
彼女の説明に晴斗が突っ込む。しかしその事が鬼原の話しの要点であった。
「そう。そこがポイント。兄妹の確執・・・なのだろうか。
まぁとにかく四楼さんと鈴ちゃん、彼らを研究所より先に救出
しなくちゃ、だ。幸いセフィロトの居場所を知っているのは
私のみだ。明日、行動に移したい。この事は君から二人に話を
つけてくれ」
鬼原が頼んだよ、と晴斗の肩を叩く。
「分かった。しかしあいつらもまだ14だ、余りに危険な目に
合わせたくない。その時は俺達が守らなくてはいけないんだ。
良いな?」
晴斗が釘を刺す。
「みなまで言わなくても、だ。ホラ、荻君ちだ」
「済まないな」
晴斗が下車すると鬼原が手を振りつつ車を発進させる。
「ああ、お休み」
「・・・・・・何なんだろうな」
晴斗はこの目まぐるしい状況に思う事があるのだろうがそれが
何なのか、自分でも分かってはいなかった。
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彼らが帰宅していた頃、雨音達は響のこれからについて相談していた。
「それで、響さんは私と同じ中学に転校すると思うのだけれど、
どうするの母さん?」
雨音の問いに雨音の母はんー、と返す。
「明日、響ちゃんと学校へ行ってそれなりの手続きを進めるわ。
まだ一緒に学校に通えないけれど、暫くすれば一緒にお話しとか
出来るわね」
雨音の母の言葉に少し安心した。しかし、まだ安心には至っていない
人物が一人いる。
「雨音さんと同じクラスになれますか!?」
響は雨音の母にずいと寄り、強く問う。
「まだ分からないけれど、そうなる様にしてみせるわ・・・!」
この二人の眼差しに雨音は少々旋律する。
しかしそれは雨音の身を案じていると言う事もあるのだろう。
明日の予定も分かった所で雨音達も睡眠を取る。
今日だけでこんなにも親交を深めるのは正直雨音は疑念を抱いていたが、
響、彼女ならきっと信頼して良いと思った。
何故ならば、横で寝ている響の寝顔はとても安らかで、可愛いと雨音がひっそり
思ったからだ。




