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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

目覚まし彼女と女子高生

作者: ジェミ二

ピピピ

ピピピピ

ピピピピピ


………ああ、うるさい。

うざい。黙れ。起きたくない。

昨日の私をブン殴りたい。

なぜ、昨日の私は目覚まし時計をセットしてしまったの。

そもそも、なぜ、朝早くに起きなければならない。

私のように朝起きるのが辛いという人は多かれ少なかれいるはず。

ならば、なぜ、誰もが苦しまないように配慮できないの。

別に、始まりを遅らせた分は終わりを長くすればいいのに。

それで解決するのに。

なぜなの?

おかしいでしょ。ふざけないでよ。


始め良ければ終わり良し、終わり良ければ全て良し。

みたいな言葉があった気がするけど、それは要するに、始めが良ければ全て良いということになり、逆にいうと、始めが悪ければ全て悪いということになる。

そんな人達が、今よりもっと良くなれば、社会への貢献率はもっと伸びるはず。

そこを理解できていない人が多すぎる。


そしてもう1つ。

朝ごはんは食べた方が頭のはたらきが良いということ。

朝ごはんを食べない人のほとんどの理由が朝起きてからの時間がないこと。

これはエネルギー不足になり倒れてしまうかもしれない。

倒れる場所によっては、救急車を呼ばれて病院に運ばれてしまうかもしれない。

でもそれは、事前に防げることである。

朝早くに起こさせて朝食をとる時間を与えていないのが悪い。

そして何よりも、病院に迷惑がかかってしまう。

救急車の台数は限られていて、本当に必要としている人にとっては迷惑極まりない。


この2つのことから、学校の始まりは8:30ではなく、2時間後の10:30くらいにするのが、この世の中のためには、より効率が良いと思う。


という訳で私はもう一眠りすることにしよう。

私が遅刻したのではなく、周りが早くに来すぎただけ。

いい加減うるさい時計の息の根も止めたいことだし。

私は腕を持ち上げ、それを全力で振り下ろす。

さらば、目覚まし時計。

バシッと手応えの良い音が鳴った。


「痛っ、そこ胸、叩かないでよ」


はずなのに、なぜか音は止まらない。

まあ、一発で当てられないことはよくある。

よくあることなのだが、しゃべった。

これはどういうことだ。

普通に考えれば、時計がしゃべるなんてことはありえない。

時計に体が生えたのか?

そんな訳は………いや、時計の部分を顔としたら、私が叩いたのは別部分で、頭の部分を叩かないと止まらない。

だとしたらあの感触は、柔らかさからしてどこだ?

そういえば胸と言っていた気がする。

だとしたら女の子なのか。聞き覚えのある可愛らしい声だったし。

だとすればもう少し上の方を叩けば止まるのか。


「ちょっ、痛い痛い。痛いから何回も叩かないでよ。時計なら止めるから」


言った通り、時計は止まった。

なんだこの時計、自分で止まる………だと。

というか痛覚はあるのか。

自分でも止まれるようだし、今度からは優しくしようかな。

でも、どうしてだろう。

物を大切に扱い続けると魂が宿るみたいな話は聞いたことがあるけど、私の場合

は何個も時計を壊しているため、大切には扱っていないはずなのだけど。

まあ、結果的には物を大切に扱おうと思っているのだから、その前に魂が宿っただけ………いや、大切にしてもらうために魂が宿ったのか。

ということは私の聞いた話は大分美化されているけど、本人は元々物を大切に扱っていたと主張しているだけで、実はそれを切っ掛けに大切にしていたただけなのか。クズだな。

私もだけど。いや、嘘吐いてないだけ私の方が酷くない。


「もう、早く起きないと遅刻しちゃうよ」


なんだこの時計、自分で起こすのをやめたのに、また起こしはじめた。

また叩けば止まるかなと思い。

さっきの話は何だったのかと思いつつ。

いい加減、聞き覚えのある声に気がついた。

この声はどこかで聞いたことのある声だ。

少なくとも時計の声ではない。

似ている、ということはないはずだ。女の勘だけど。

もしかして、夢?

だとしたら色々とつじつまが合う。

聞いたことある声ならば夢にでてきても不思議ではない。

時計の擬人化、ならぬ人化など現実にありえる訳がない。

そうか、夢か。

だとしたら、とんでもない悪夢だな。

夢の中で起こされるとは、地獄でしかない。

いや、そもそもは私が時計の扱いが酷かったのが原因でこうなったのか。

成る程、時計に魂が宿ったのは私への復讐が目的だったのか。

仕方ない。夢と分かれば一回起きるしかあるまい。

頭も大分回ってるし。

そして、改めてもう一度寝よう。

よし、それがいい。

完璧な予定が決まったことだし、目を開けようとしたのと同時に。


「眠り姫を起こすにはキスしかないよね。よし、花菜ちゃん大好き。チュッ」


キスされた。

………………。


「やった。ホントに起きた。やっぱ愛の力は偉大だね。今度からはこの方法で起こそ。うふふ」

「おはよ。唯。随分と刺激的な朝だね」

「だって、花菜ちゃんのお母さんに起こすように頼まれてるし、花菜ちゃんキスしないと起きないから仕方ないの。やったね。利害の一致だね」

「それは良かったね。でも、その起こし方で本当にいいの?私を遅刻させないようにするために起こしてるんだよね」

「えっと、うん。そうだけど」

「私が寝起き悪いの知ってるよね?」

「えっと、嫌………だった?」

「寝起きが悪いってね、理性が抑えられないんだよ?」

「えっと、DVハヨクナイトオモイマース」

「好きな人に痛いことはしないから安心して」

「唐突な告白だ。やったー。両想いだー」

「恋人同士、ベッドの上ですることは一つだよね?」


そして、私達は仲良く盛大に遅刻した。

午前の授業には間に合わなかった。

いつもは寝ているはずの午後の授業が、今夜のことが楽しみで眠れなかった。

ちなみに、唯の方は今日の授業は疲れていたせいで寝てしまっていた。

体育の授業がなくて本当に良かった。

読んでいただきありがとうございました。

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