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「やっと手に入れたー!嬉しいー!"花園学園の恋愛事情"の 続編!!」
右手には購入したばかりの乙女ゲーム。
左手には数年前から使い続けている少し痛んできたトートバッグ。
会社から自宅へ帰るために毎日通っている道を私は歩いていた。
いつもはアニソンでも聴きながら無心で歩く道だけど、今日は右手に乙女ゲームを持っているというだけで気分が全く違っている。
嬉しくて嬉しくて早くプレイしたくって、さすがにスキップはしていないけど、したいくらいに私の気分は高揚していたのです。
思わず独り言を言ってしまうくらいにはテンションハイだったことは間違いありません。
そんな時だったからこそ、前からやってくる異様にスピードの出た斜め走行をしている車に気がつかなかったのでしょう。
暴走した車に気づいた時には私の身体は宙を舞っていました。
そんな…そんな、こんなとこで死ぬなんて…。今日買ったばかりの乙女ゲームプレイしてないどころかオープニングすら見てないのに…。あっ…あのアニメも続きすっごく気になってたのに…。あの漫画もいつ完結するのかワクワクしながら単行本待ってたのに…!こんなとこで死ぬなんて…そんなーーー!!
「いやだーーーーー!!!!!」