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戦乙女の補習授業 2時限目

この回は、本作に登場するキーワードに対する説明補足です。希に設定に対する補足あり。


純粋に物語を楽しみたいという方は読み飛ばしてください。


読み飛ばしたところで影響はまったくありません


今回は『ブリュンヒルデ』について。


 『ブリュンヒルデ』は、リヒャルト・ワーグナーのオペラ『ニーベルングの指輪』の登場人物でワルキューレたちの筆頭(長姉)として登場します。

 この歌劇の中で使われている主フレーズを編曲したのが、あの有名な「ワルキューレの騎行」です。映画「地獄の黙示録」で使われた。というのはご存じの方もきっと多いことだと思います。




『ブリュンヒルト』と『ブリュンヒルデ』


 『ブリュンヒルト』と『ブリュンヒルデ』。結構、混同されてしまっているようです。

 『ブリュンヒルト』は、古ゲルマン叙事詩『ニーベルンゲンの歌』にアイスランド女王として登場します。(前半と後半に分かれていて、後半にはちっとも出てきませんが)

 和訳されたものですが、以前(もう十数年前になるか)に私が読んだ『ニーベルンゲンの歌』に、『ブリュンヒルト』がワルキューレとは書かれてはいませんでした。(ブリュンヒルトが女王でワルキューレだと書かれているサイトは結構あります)

 もちろん、『ブリュンヒルト』というキャラクターが先あって、それを元に『ブリュンヒルデ』が造形されたわけですので、お互いがお互いに影響しあっているのかもしれません。物語自体にも共通項があるわけですから。


1月23日追記 (ここから)

詩のエッダにある『ブリュンヒルドの冥府への旅』にはブリュンヒルド(こちらではブリュンヒルドとなってます)は、ワルキューレだと書かれています。

北欧神話自体が数々の物語を統合したもののため書物によって色々と食い違いが出ています。しかし神話自体(北欧神話に限らず)結構矛盾を含むものなので、このあたりはしょうがないですね。(ここまで追記)



『ニーベルンゲンの歌』


 前半のあらすじ


 ネーデルラントの王子ジークフリートは、ブルグント王グンターの妹クリームヒルトの噂を聞き、彼女に求婚すべくブルグントの国を訪れる。

 彼はグンターとアイスランドの女王ブリュンヒルトとの結婚を手助けするなどして、グンターの妹クリームヒルトとの結婚を果たす。

 しかしある日、クリームヒルトはブリュンヒルトと互いの夫の地位の上下を言い争い、ブリュンヒルトがジークフリートとグンターに騙されて結婚した事を公の場で暴露してしまう。

 ブリュンヒルトの重臣ハーゲンは、ブリュンヒルトの恥辱を晴らす為にジークフリートを暗殺。さらに、彼がかつてニーベルンゲン族から奪った莫大な財宝を、クリームヒルトの手に渡らないようライン川の底に沈める。


 後編のあらすじ


 その後、クリームヒルトはフン族の王エッツェルと再婚するが、先夫の恨みを忘れられず、フン族の力を利用しての復讐を企てる。

 クリームヒルトは、友好を装ってエッツェルにブルグントの人々を自国へ招待させ、ハーゲンは、彼女の意図を疑いながらもグンター達に同行し、フン族の国を訪れる。

 東ゴート族の王で当時フン族の客分だったディートリッヒは、クリームヒルトが復讐を企てている事をグンターたちに警告。しかし、ハーゲンは武器を帯びてクリームヒルトと対峙、一方 クリームヒルトはディートリッヒに自分の復讐に加勢するように依頼する。もはや、戦いは避けられない状況となっていた。

 ディートリッヒに復讐への加担を断られたクリームヒルトは、エッツェルの弟ブレーデリンを買収してブルグントを襲撃させる。かくてブルグント、フン族の両陣営は完全に決裂、乱戦となる。

 戦いは、フン族の同盟軍だったデンマークや東ゴート族をも巻き込み、凄惨な殺し合いとなる。ディートリッヒも、ブルグント側に部下を皆殺しにされ、やむを得ずハーゲンと戦い、彼とグンターを生け捕りにする。

 クリームヒルトは、ハーゲンに対し、ジークフリートの遺産であるニーベルンゲンの財宝を渡すなら命を助けると言う。しかし彼がこれを拒絶した為に、「二人を殺さない」というディートリッヒとの約束を破り、グンターとハーゲンの首を刎ねる。ハーゲンの首を刎ねるのに使ったのは、亡き先夫の形見の剣・バルムンクだった。

 東ゴート族の騎士ヒルデブラントは、獄に繋いだ相手を斬殺するという卑怯な行いに驚いてクリームヒルトを斬り捨てる。

 誰も救われず、たくさんの勇士が無駄に死んでいった事に、エッツェルとディートリッヒは悲嘆にくれる。



 あらすじだけでもこの物語意の凄惨さがお分かりいただけるかと。

 目を覆いたくなりますよ。本当に。

 はっきりいって、クリームヒルトがすべての元凶だと思います(笑




 『ニーベルングの指輪』

 すみません。『ニーベルンゲンの歌』が長くなってしまったので短く行きます。


 あらすじ

 ブリュンヒルデは神の罰を受けたジークムントとジークリンデの兄妹をかばい、神々の王ヴォータン(オーディン)から神性を奪われ『目覚めさせた男のものになる』呪いを受け、炎に囲まれた山頂で眠りに付く。

 やがて禁断の兄妹愛(早い話が近親相姦。これが神の罰を受けた理由)の結晶であるジークフリートがブリュンヒルデの目を覚まし我が物とするが、ある陰謀により記憶を失い、ブリュンヒルデと永遠の愛を誓ったことも忘れ、他の女性と結婚し、ブリュンヒルデも陰謀により他の男と結婚させられる。

 その陰謀を知ったブリュンヒルデは逆上し、ジークフリートを死に追いやってしまうばかりか、ジークフリートが持っていた『世界に破滅をもたらす指輪』(指輪物語のヤツと同じもの)をラインの乙女に返しヴァルハラを崩壊させ、彼女はジークフリートの亡骸なきがらと共に火中に身を投じるのであった。



 上記のような感じの物語です。(結構はしょりましたが)

 物語のとしての完成度はそれほど高くはないです。何か薄っぺらい。

 突っ込みどころ満載ですよ(笑




 3時限目は第2話が終了したあとを予定しています。

 題材は多分『運命の乙女 ノルン』になるかと。(予定は未定と言うことで)


次回から『第2話 暗躍 黒い影』に入ります。

『第1節 買い物に行こう』でお会いしましょう。


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