入学試験〈6歳編〉
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あっという間に、試験当日ですわ。
今日の学科に合格しないと、明日の実技には進めない。
「……」
チャナさんに連れられ、私は試験会場にやってきたんだけどその会場の大きいこと!
「どうしました?…ああ、レプティリア学園は一番権威のある学校ですから受験者数が多いんですよ」
だからこんなに会場がおっきいのか…。
私が緊張した面持ちで、会場を見つめていると上で笑う気配がする。
「あなたは、お父上の制止を振り切ってまでも学ぶことを選択したのでしょう?それを思い出しなさい。大丈夫、あなたは優秀です」
「あっ…」
チャナさんに一瞬抱きしめられた。
ドキッとしたけれど、あっという間に離れていってしかもよく見ると顔がほんのり赤い。
「ここには来られませんが、皆があなたを応援していますから。…健闘を祈ります」
精一杯の励ましに、私の心は軽くなる。
そうだ。
母さんだって、ラジアータ兄さんやオリュザ姉様。
それにオクトス様だって、私の逃亡に力を貸してくれただけじゃなくて宿屋の手配やチャナさんまで寄越してくれた。
「いってきます!」
よし!悩むのは私らしくない!
当たって砕けろ、の精神で入り口でチャナさんと別れた。
中は人でごった返し、あちこちで教本を広げている。
本当に人種もまちまちで、一番多いのは人間だけどエルフもいれば私のように頭が魚の種族やゴーレムもいたりした。
…だけど、さすがに同じ種族はいないか。
いたらえらい騒ぎになりそうだし。
でも、ちょっと見て落ち着きたかったなあなんて考えていると後ろから「ちょっと、そこの方」と声をかけられた。
振り向くと人間で、燃えるような赤い髪に大きな瞳の女の子が立っていた。
「は、はい。なんでしょう?」
私が喋ると、女の子はモナ・シェンダーと名乗り握手を求められる。
「失礼ですけど、あなた龍人ですわよね?兄の友人の一人が龍人なものですから。アルヒアとおっしゃる方なんですけど、ご存じ?」
基本、龍人は外の世界に出ることはなく一生を過ごすことがほとんどだ。
「龍人のアルヒアだったらそうです!兄がお世話になります」
龍人でレプティリア学園の在学生だったら間違いないよね…。
「里に妹がいて、入学してくるのを楽しみにしてるんだっていつもおっしゃるから」
だから、龍人の私に声をかけたのだとモナは笑っている。
そっか。兄さんも楽しみにしてるなら頑張らないと。
「ーーーお互い、頑張りましょう?私も兄さんと同じ学園生になりたいの」
私はモナと別れて、試験官に書類を渡した。
試験官は、推薦状に名前のある人物を見て目を見開いていたけどね!
そりゃあ、誰だって第二王子が推薦人なんてビビるよね。
試験官のチェックをくぐり抜け、いよいよ試験開始!