再生の仕組み
22
その日は、薬の影響か知らない間にグッスリと寝てしまっていたみたいだ。
そして起きると、ミメットさんから培養の第一段階に成功したとしらされる。
「でもこれからがどうなるか分からないからね…。君にはまだしばらく迷惑をかけると思うが」
あとでどういう場所で培養しているのか見せてくれと言ったら、快くオッケーが出たので楽しみだ。
だって、培養されて最終的に自分の体じゃなくなるとしても自分の体の一部だし…。
「なんなら、今から行こうか?」
えっ!?マジですか!行こう行こう!
ということで、王城の敷地内にある研究施設と人々に呼称されている施設へやってきた。
建物は二階建てで、パッと見は日本の古い木造校舎のような雰囲気で等間隔に大きな窓があり中の様子が見える。
忙しそうに、時折白衣を着た人が行きかい私とミメットの姿を見つけると会釈された。
「皆が、私の名前を知ってて驚きました」
会う人会う人皆が、私の名前を呼んで礼を言うというプチ芸能人気分を味わってほんのちょっとビビってる。
明らかに見た事ない人にも言われたから。
「ああ、それは君がようやく我が国に平穏をもたらす使者のようなものだから。驚いたろう?」
う、うん。
不快ではないけど、ただ単純に驚いた。
「龍人の君からすれば、同族殺しのおさめる国だろう」
ああ、そういう事か。
「ーーーそれはおかしいでしょう。殺人犯の子供まで、殺人犯じゃない。それと同じで、大事なのは今生きている人ですもん」
最初は、もちろん乗り気じゃなかったけど。
ミメットの話や、国王、王妃様達の話を聞いてこの人達のためなら少しくらいは何かしてあげようと思ったんだ。
「まあ、子供が言う事なんで」
まあ、ほんとの子供じゃないけどね!
歩きながら、すれ違う人とあいさつを交わしながら歩く。
『研究室』と書かれたプレートの部屋の扉を開けると、よく分からない器具や謎のパイプが所狭しと並んだ部屋が出てくる。
…想像してたよりも、だいぶ科学的だな。
私はミメットの案内で、青色の液体が詰まったガラスの容器の前に立った。
容器の大きさは大体大人一人分で、この液体の中には既に私から切り取った指が入ってるらしい。
「ここで成人した龍人女性の大きさまで育てるんだ。何もなければ、かかる時間は一週間ほどかな」
すっげー、たった一週間かあ…。
地球の科学力基準、っても詳しいことはあんまり知らないけど。
研究室の人に色々と質問しながら、私はとても楽しい時間を過ごした。
「じゃあ、やっと呪いが解ける道筋がついたんですかね?」
私が尋ねると、ミメットさんは静かに頷いた。
悲願だと皆口々に言うし、ここまで協力してきた私としては素直に嬉しい。
「これ以上、国として記録に残らなくとも…。人々を救えた事こそが嬉しいんだ。拾ってもらった恩をやっと返せる」
そうか、ずっとずっと根底にあったのはその思いなのか。
昔、行き倒れて死ぬしかないと諦めかけた時に拾ってもらった恩を返したいと。
私はミメットさんと共に、見学を終えて私は部屋に戻った。
私もいつか、あんな風に命をかけても惜しくないと思えるような何かが見つけられるだろうか。