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レプティリアの百合  作者: ころころどろん
レプティリア学園編
15/26

うっきうき!強化合宿!〈6歳編〉②

15


まだ明け切らないうちに、キャンプ地の入り口に着いた一年Aクラス一行は死ぬほど長い山道で私とヤァス以外の全員がへばっていた。

「……。山道と言うのは、こんなにも苦しいものなのか…一体あとどれほど…」

あ、王子がつまずいた。

かれこれ、一時間位ずっと歩き通しで普段馬車や飛空艇でしか移動しない彼らには辛いだろうな。

「モナ、大丈夫?辛かったらいいなさいよ、私が背負ってあげるからね」

私も人間の時だったら、もうとっくにへばっててもおかしくない。

魔力は多くても、体力は人並みの女性分しかないモナはもう声も出せなくてただ頷く。

「…お前、すごいな。ヤァスも全く息が乱れてないし」

山道を歩きなれてるかどうかだけな気がするけど。

ヤァスは既にへばって動けなくなる寸前のリックスとギニーの荷物を持っているから、そっちの方がすごいよ。


「僕達亜人型は元々、体力は普通の人間よりはあるからね。住んでる場所が場所だし、差があるのは仕方ないよ」

亜人というのは、人間以外の種族の総称で一般的に心のあるやつを指す。

大体が人間との接触を避けて、人が容易に近くに行けないような場所に住んでるのが普通だね。

「そうそう。だから、そんなに落ち込まなくてもいいんだって!」

参加したのは、大体山コースが五十人程。

クラスごとに歩いているんだけど、前が団子になっててなかなか前に進まない。


「ハトゥール、モナも、荷物貸しな?無くなったらちょっとはマシでしょ」

まだまだ、目的地のエーレ平原までは遠いし無理したってねえ。

二人は今度こそ、私に荷物を渡した。

「…ありがとう」

更に一時間ほど立ち、やっとキャンプ地であるエーレ平原までやってきた。

エーレ平原は、地形が盆地で人間が魔物を駆除した上で魔物除けの結界が張ってあるからそれ以外の野生動物の宝庫なんだって。


「さて、とりあえず。ヤァスはテントの設営したことある?私ないのよね」

荷物を置いて、とりあえずまだ余力のある私とヤァスがテントの設営をすることに。

「ああ、設営は僕がやるよ。それよりも、炊事場が混む前に料理の下ごしらえしてくれた方が嬉しい」

監視役の先生に、食材と調理器具を借りに行く。

「野菜はこの箱に入ってるから。あとは、こっちに調理器具な?かまどはテントの近くに石でも積んで作れ」

石ぃ?

随分、本格的なんだなあと感心しながら食材を手に入れて戻る。

男子達には取ってきた石で、かまどを作るように頼んで私とモナは煮炊きの準備。


「なるべく、石と石の間に隙間が開かないようにね。じゃあ、モナと私は野菜を切りましょうか」

作るのはキャンプの定番、カレーです。

この世界にも、庶民の食べ物としてカレーが伝わっていて里でもしょっちゅう食べていた。

「カレーか…。僕は食べたことがないから楽しみだ」

庶民食だもんねえ…。

くるくる、野菜を回しながらまな板を使わずに切る。

モナは話しながら、手を止めない私を見て驚いてるみたいだった。

「…すごいわね、私なんて皮は厚いし。話しながら切ったらズタズタになっちゃう」

モナの手の中にあるニンジンを見ると、ちょっと小さくなっている。


「そんなことない。私が最初にむいた時はもっとひどかったし。それに比べたら上手よ!」

おしゃべりしながら、私とモナは人数分の野菜を切り終えた。

料理って言っても、動物を狩ってきてさばくわけじゃないから楽な部類。

「味付け、やらせてくれないか?」

野菜と肉を炒めてからね?と念を押し、私は米の準備。

この世界は、庶民しか米を食べないからすごく驚くだろうな。


「何してるの?」

モナに「米を研ぐの」というと、やっぱり食べたことないらしくてやたらと食感を聞かれる。

「きちんと炊くと、パンに負けないくらいモチモチして美味しいのよ?」

そうして準備を終えて、ようやく食事の時間になった。

男女のテント前で、Aクラスの面々と食事をして初日は終了した。


二日目の朝、今日からは最終日までご飯は自分達で取ろうと狩りをすることに。

「この平原にいる動物だったら、オススメはシカかな。イノシシは動きが早くなくて狙いやすいけど味は落ちる」

ヤァス・リックス・ギニー組と、私・モナ・ハトゥール組と分かれて獲物を探しにいくことに。

固まって動くよりも見つけやすいしね。


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