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第四話

side 柏原 結衣


練習は終わり、帰宅すると兄さんが昼食を作っていてくれた。

やっぱり、兄さんの方がずっと料理がうまいと思う。


「そうだ結衣、俺と久し振りにゲームでもしないか?」

「いいけど、課題終わったの?」


聖昴学園では入学者がある一定以上の点数に達していない場合課題が出される。

と言っても、課題が出されないような点数をとる学生はほとんどいない。

しかし、私はそれに入っている。


「ああ、もう終わるよ。」

「もうって、まだ終わってないじゃないか。入学式は明日だよ!」

「じゃあ、終わった。」

切羽詰まっていることを示す私に兄さんは適当に返事をした。

「・・・じゃあって。まあいいよ。やろっ、ゲーム。」

私も大概、適当なのだ。


ゲームは兄さんが友達から借りてきたものらしい。前の中学の友達に借りたんだろうから。

いつ返す気なんだろ・・・。


まあ、いいや。私の知ることじゃない。


私はゲームはあまり得意ではない。パズルゲームとかは得意なんだけど、アクションゲームは苦手だ。私は反射神経的なものが悪いのだ。


兄さんの(借りてきた)ゲームだから予想できていたけど、アクションゲームだった。

兄さんはたぶん経験者だ。それに初めてやるゲームでもうまい。


私は惨敗だった。

なんで、攻撃範囲計算したのに避けられないんだろう?


何回かやった結果。私の一勝一分け他全敗で終わった。

一勝一分けも、兄さんがとても手を抜いた結果だ。


その後兄さんと私がペアを組み、CPと戦うモードで遊んだ。

ちなみに、兄さんのおかげで勝った。


他にも家庭サーバーのAIと対戦できるモードなど色々やった。


兄さんは新しい別の戦略ゲームを持ってきた。私はこの手のゲームは得意だ。それを知って持ってきてくれたのだろう。


やっぱり兄さんは優しい。


***


時間が夕飯を食べる時間になったので、夕飯を私が作ろうとすると、兄さんもやろうとしていた。

少しお互いに笑いあう。

久し振りに兄さんと一緒にご飯を作った。


***


兄さんに言ってから、

洗面所に向かう。


おもむろに、私はウィッグを取る。

下から現れたのは金髪だ。


服を脱ぎ洗濯用のボックスに入れる。

あとは機械がやってくれる。


CARPのコンタクトレンズを外すと視界が少しだけ明るくなる。

CARPのコンタクトレンズは付属の専用の容器に入れる。これで充電が行われるのだ。付属部品は耳にかける部分が少し大きいのでコードを繋ぐことで充電できる。


鏡に映るのは、輝く金髪に碧の目の全裸の少女だ。

これまでは少女のような少年だったが、股間と胸元がそれを否定している。


私はハーフだ。

血筋的な両親は写真でしか見たことがない。

父方が兄さんの父親の弟で、母が外国人だったそうだ。

私は母似で、髪も目も同じ色だ。

いつもはウィッグと特注のCARPで色を変えている。黒目黒髪の少女にしか見えない少年に見えるはずだ。


母方の親族はみんな大富豪だけど年寄りで私しか若い人がいないせいで、いつかその財産が全部私に相続されてしまうそうだ。だから、女には気を付けなさいと言われ育ってきた。今は関係ないけど。

なお、十分父方も富豪ばかりだ。

いま、養ってもらってる兄さんの両親も商事会社の幹部に近い。


透明なガラスの扉を開け、システムバスに入る。

「スモーク。」

そうつぶやくと、その声を聞き取ったシステムバスに附属のコンピュータが透明だった扉を曇らせる。


CARPを付けたまま入れば操作できるようになっているが、私はお風呂に入る時だけは外すようにしている。

睡眠導入寝具を使わないのと同じような理由だ。


脇にあるレバーを操作し、シャワーを出す。

髪が濡れ、顔に張り付いた。


***


最近兄さんとの距離が掴めない。

あのエロ本を見てしまったからだろうか?


エロ本の内容を思い出し顔がシャワーの湯の熱と別に火照る。


私は首を振り、それを否定する。

そうじゃない。だってそんなこと兄さんはしないって信じてるから。


嘘をついたからだろうか?

でも、これまでも嘘はついてきた。

この髪に瞳の色、血統・・・。


じゃあ、どうして・・・?


***


そんなことを考えていると、私はもう全身を洗い終わっていた。

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