第二話
今日は入学式前日だ。
今日は私は学年主席として、入学式の答辞があるのでその練習があるのだ。
起床はいつもの時間でも間にあうがいつもより早く起きる。
兄さんより早く起きなければならなかったので必然的に今日の朝食の準備は私がやることになっている。
明日は入学式だが、目覚ましで起きない兄さんが遅刻しないか少し心配だ。
ちなみに春休み、兄さんが支度をするときは、兄さんが起きるのが遅いので、朝食は遅くなる。
だから、これまでは兄さんは夕食、私が朝食となっていた。
朝食を作り、兄さんのための作り置きを冷蔵庫にいれメモを書いた。
二階の自分の部屋で着替える。
少々胸がきつく、ズボンがゆるいが仕方が無い。
ベルトを短く締め、ネクタイをつける。
兄さんはたぶんまだ寝ているので、いま見せることはできないが、これも仕方が無い。
ブレザー風の上着を羽織って、家を出る。
家を出たのは、十分間にある時間だった。
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集団制御技術の向上は長い車体の所謂電車を無くした。これらの特徴の電車は専ら高速遠距離移動、元の新幹線などの通っていた路線を残すだけだ。
民衆の足となる中距離の移動は駅にしか止まらないが電タクシーとでも言うべき、個人もしくは数人で乗る代物になっている。
一応正式名称として路線車という名称があるが、特定の場所にしか止まれない特徴と電車路線に使われたレールを使ったこともあり、
電車と呼ぶのが普通だ。
***
私は一人で電車に乗っていた。
二人乗りの路線車は前と後ろで、通常、対面に座る。
一人なので誰かが前に乗ることもない。
外をぼーっと眺めていると
程なくして、学園のある街に着いた。
高校大学一貫の大型学園のある街は学園街とよばれるが、私の通う学園街の駅は《聖昴学園駅》という、いかにもな名前だ。
聖昴学園が私たちが通う学園である。
聖昴学園には寮もあり、ここで春休みも過ごすとこができる。
だから、暇な学生は今年の主席を興味で見に来るのだ。
主席は前日に練習のため必ず学園に来なければならない、寮に入るとしても駅に現れる必要があるのだ。
そして、学園は基本私服でいいが主席となる生徒は入学式とその前日には制服の着用を義務づけられている。
つまり、前日に制服で来る生徒を駅で探せば
会うことができる。
学園で着替えるなど、手はいくらでもあるが、いつかわかるのだ。わざわざ隠す必要もない。
駅の改札を抜け学園の方向を教えてくれる、アプリをCARPで起動した。
寮に住んでいる人とこの街に住んでいる人だけだが、それでも大勢となる。
これは高校大学一貫校という特性だけでなく、一学年の人数という理由もある。
何せ、一学年だけで二、三十年前の高校全体の人数を軽く越えてしまうのだ。
その人数でのトップだからこそ、注目は多い。
さらにこの学園は関東甲信越(現在そのように分かれていないが、その名残りだ。)の大型学園のトップだ、当然全国の学園の五指に入る。
私が駅を出ると多くの視線が集まる。ついでにカメラのレンズも集まる。
私にはこれがあの目なのか、ただの興味の目なのかわからなかった。
人集りは自然と私を避けるように移動してくれたので、私はそこを通った。
学園は駅の目の前(作られ方を考えれば学園の前に駅があるだが)にあった。
学園はとても広いので、校舎に着くまで距離がある。
私服の生徒が多い中、唯一人制服で歩く姿は主席という意味以上の注目を浴びせられる。
私は校舎へと入って行った。
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学園掲示板
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今年の新規生について語るスレ
001 アケボノ
今年の新規生について語るスレです、くれぐれも個人特定等はお気をつけください。
002 名無しの学生
まだ入学式の日じゃないぞ。
003 名無しの学生
>002
新入生の主席だろ。
004 002
個人の特定大丈夫なんか?
005 名無しの学生
名前出さなければ許される(キリッ
006 名無しの学生
で、どうだったんだ?
007 名無しの学生
見てきたがあれはスゴイ
008 名無しの学生
雰囲気が、ね。
009 名無しの学生
説明しろ
010 名無しの学生
あれだね、美少女だね。
011 名無しの学生
でも、男子の制服着てたぞ。
012 名無しの学生
>010
>011
男子制服で美少女って男の娘か?
013 名無しの学生
精神の性別的なものかもよ。
014 名無しの学生
胸あったと思う
015 名無しの学生
>014
いやなかっただろ
016 名無しの学生
写真はよ
017 名無しの学生
>016
写真はアウトwww
あとの掲示板は荒れている
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