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謡い―東國と妖の繰り手―
ヒトならぬモノがヒトと在る
一 神 教 國
四十余の邦と一つの都が一つの島たる国土を成し
生けるモノ視えざるモノ在りしモノ須らくこの地に立つ
『神殿』の教義が政治と並び
『ヒト』より外れしモノ悉く『異 端』と呼びならわせり
さて其が國にて最たる『異端』は
連綿続く不可思議なる音曲師
外国より渡りし一張りの月琴携え
神官の如き白衣纏いて曲を奏ずる
其が繰る楽器は『妖音の月琴』なる器物
生者と死者の二界を繋ぐ唯一無二の『異端』
其が音色にて二界繋がば願い乞う者の望む侭
死せるモノ疾く現れ出でて一度限りの逢瀬叶えん
其の常に無き業故に
其が音曲師を『妖の繰り手』と呼び慣わせり
ヒトは集い『異端』は潜みそして闇集い怪集う
其が國の名は東 國――
はじめまして、しらそのさほと申します。これまでずっと読み専だったのですが、とうとう投稿に手を出し始めました。かなりスローテンポに投稿するとは思いますが、お付き合いくださると幸いです。