表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/46

はじまり 4

 「大介、おまえそんなこといっているから女にモテないんだ。そんなまわりくどいことを考える暇があったら、もっと女が喜ぶことを考えたらどうだ。A組の田代香織が好きだったら好きといえばいいじゃないか。それでお互いがいい関係になることのなにが悪いっていうんだ。下心のねぇ男がいるか、デリカシーで女を満足させられるのかよ。そんなことをいってるからおまえはいつまでたっても童貞なんだ」


 「おまえだって人のこといえないじゃないか」


 「童貞がどうしたのおふたりさん」という突然の声にふたりは血の気が引いた。大介はあわててエロ本と煙草を隠し、振り向いた先には霧島洋子が立っていた。一緒にいるのは仲のいい大島説子で、大介と功一は教室の扉が開いていたことをすっかり忘れていた。


 「なんだ洋子と説子か。大介がしたい、したいっていうから相談にのってやっていたんだ」


 「おい、おい、それはないだろ、功一」


 「童貞がしたことってなに」と大島がとぼけながら問いかけた。


 「決まっているじゃねぇか、女を抱きたいんだよ。大島ちょうどいい、大介の相談にのってやってくれねぇか」


 大介はあわてて、

 「大島、冗談だからな。なにもいわなくていいぞ」と切り出したが無駄だった。


 大島説子はうつむいて床に視線を落とし、表情はみるみるうちに白くなった。躰全体をユラユラと揺らし、明らかに動揺しているのがわかる。


 「わたし、そんな安物の女じゃないから」


 「へぇー、じゃあ安物と高価はどこで区別するんだ、説子」


 「愛情の深さよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ