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進路 4

 

ひとりの力だけで切り開けるほど人生は甘くなかった。だけど、これまでは自分なりに生きてこれたが、現状では打開できない。


誰かに手を差し伸べてもらわなくては、右も左も行く先がわからない。


選ぶべき道を先生ならきっと教えてくれるだろう。

この面接が自分でも思いもよらない近道になったらどんなに素敵だろう。


 そして山口が、

 「桐原、こちらに来なさい」と告げた。


 大介は後ろの席からつかつかと歩み寄り、山口の前に座ると迷いを吹っ切るように大きな声で語りだした。


 「先生、自分なりに受験勉強をやってみたのですが、どうしてもうまくいきません。はじめにどのような勉強方法がいいかアドバイスしていただけませんか」


 「方法がわからないということか」


 「はい」


 「具体的になにが問題なんだ」


 「勉強に集中することができないんです。

これまで英単語などの暗記しなければならないものは、ノートに書いたり、暗誦を繰り返したりして覚えようと努力はしたのです。

だけど、どうしても頭の中に入ってきません。

先生は少し変に思われるかもしれませんが、僕の場合、耳からなんらかの刺激がないと脳に記憶されない体質なのです。

だから、ただ単に英単語のスペルを書くだけでは全く覚えられない。

つまり聴覚に変わるなにかきっかけみたいなものを見つけないと問題が解決しないんです。

だけど、いまの僕にはそれがなんであるのか皆目見当がつきません」


 「なるほど、最大の長所は最大の短所でもあるということか。

桐原の特技は確かエレキギターだったな。いつ頃から音楽を聴いているんだ」


 「小学3年の頃からですからもう7年ぐらいになります」


 

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