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たかが1匹されど1匹

 中学2年生の頃から釣りを始めて、それ以来ずっと魚釣りという趣味を楽しんでいるのだが、ハゼだけを釣りに行くという釣りを大人になるまでボクはしたことがなかった。


 どうせ釣りに行くのなら……自慢できるような大きな魚が釣りたい。

 釣り人なら必ずそう思うのではないだろうか。


 ボクの場合もそれは例外ではなかった。


 ただ、通常の釣り人なら、大物に対する憧れを持ち続け、粘り強く大物を狙い続け、ついには憧れの魚を釣り上げるのだろう。

 ところが、残念ながらヘッポコ釣り師であるボクには、そういう粘り強さも技術のないので少し釣れないと飽きてしまい、最終的には釣れればなんでもいいという形になる……という話は以前にもしたような気がする。


 だから最近では割り切って自分にはあまり釣れない大物を釣ることよりも、毎回の釣行の度に釣れる可能性の高い小物を狙うことにしているのである。


 とにかくどうせ釣りに行くのなら釣りたいし、食べて美味しい魚がいいと思うようになったのは随分大人になってからのことである。


 ハゼという魚は、言うまでもなく小さい魚である。当然、釣れたからといってそんなに自慢できるようなものでもない。

 最近ではハゼをクランクベイトというルアーで釣るということが流行(はや)り出しており、個人的にもなかなか面白いなあ、とは思うのだけど、結局、小さなハゼを釣るだけでなく、食べる事まで考えるとたくさん釣りたい。そうなるとボクのつたない腕で新しい釣り方にチャレンジしたところで数は釣れなさそうなので、こういったことには触れないほうが無難だと思っている。


 ただこの発想力というか……

 この釣りを考えた人はすごいし、ルアーでハゼを釣るという行為自体は絶対に面白いと思う。


 ハゼ釣りのありがたいところは東京湾近郊の釣り場でも気楽に狙えるところにある。

 それなりのアジを釣ろうと思ったら船に乗らなきゃならないけど、ハゼならいくつかの釣り場で岸から手軽に釣れる。

 道具もそんなにたくさんは必要ではない。

 投げ竿は必要になるが、所詮……ハゼなのでそんなに大きな竿はいらないのである。


 先程も触れた点だが……ハゼは小さい魚なので持ち帰って食べたい場合は沢山釣らなければならないという問題がある。

 実はこれが簡単に見えてすごく難しい。

 1匹釣れて『いいぞ』と思ってもあとが続かないことが少なくないからだ。


 なんでだ??

 そこには魚があまりいないのか?

 潮が悪いのか??

 満月だからか??


 ……なわけない。

 ただ単に釣り方が悪いのだろう。

 どこが悪いのか?と聞かれても分からない。

 分からないからボクはヘッポコ釣り師なのだろう。


 まあ……たいていの場合は1匹釣れればその後、立て続けに釣れる。それでも何の気まぐれか……たまに1匹しか釣れないという時があるから困りものなのだ。


 そもそもハゼなど1匹釣れてもどうしようもない。

 あんな小さな魚、1匹ではおかずにもならないのである。

 そうなると仕方なく釣りの帰りにスーパーによって他に食べられるようなものを購入しなければならない。これはまったくの手間であるし、なんだか釣れなかったから買い物しているみたいで恰好が悪い。


 てゆうか1匹しか釣れなければリリースすればいいではないかという意見もあるだろう。

 しかし釣りの序盤で釣れた魚は、納竿の頃には大抵、死んでしまっている。

 バケツで海水を汲んで、その中に入れておけば死ぬこともないのだろうけど、釣れた魚をリリースするという考えは、基本的にボクの頭の中にはない発想なので、どうあれ持って帰るのだ。


 こうやってハゼ釣りのことを考えてみると数が釣れないと困る魚というのはほかにもある。

 例えばキスなんかもそうだ。1匹ぐらい釣れたところで仕方ない。

 どうせ天ぷらにして食べるのならたくさん釣れなければ意味がないのだ。


 小物釣りの難しいところは数を釣らなければいけないということだろう。


 大物は1匹釣るのに苦労する。

 小物は1匹釣るには苦労しないけど、たくさん釣れないと意味がない。


『たかが1匹……されど1匹……』というところだろうか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 釣った魚をリリースする気がない……というのは、一部の人には反感を買うかも知れませんが、海水の小魚は釣り人の手にかかった時点では、殆ど死んでしまうんですよね。 1匹で意味が無くても、奪った…
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