満月の夜には何も釣れない
本当か嘘か知らないし、調べてもいないのでなんとも言えないのだが、満月の夜には月の光のおかげで魚の警戒心が強くあまり釣れないらしい。
宣伝になるので大変恐縮だが……
『満月の夜には何も釣れない』という同名の小説があるので、よければ読んでもらえると嬉しい。
さて……
話を元に戻そう。
いくら満月の夜が釣れないからと言っても、釣行の予定がある場合に釣りに行くのをやめるということは絶対にしない。そんなことをしてしまえば次にいつ釣りに行けるか分からないからだ。
これに関しては、釣果に大きく影響を与える潮についても同じで、潮が一番動く大潮の日が一番魚が釣れる可能性が高いのだが、釣行の日にいつも大潮というわけにはいかないから潮が悪くても釣りには絶対に行くのである。
こういうことに一切こだわらず、とにかく魚釣りがしたいと思って釣りをするからボクはいつまでもヘッポコ釣り師なのだなあ……と思う。
釣れる時間と釣れる場所に行けば、腕前ももちろん関係するのだが、それなりの腕前なら魚はそこそこ釣れる。釣りというスポーツはそういう意味ではそんなに難しいスポーツではない……とボクは思う。
新婚の頃は伊豆で生活していたのでよく夜釣りに出かけていた。
なぜわざわざ夜に釣りに出かけるかといえば……仕事が忙しすぎて夜にしか釣りに行けなかったからである。今から考えるとそんなに休みがもらえないなら田舎に移住した意味はまったくと言っていいほどなかった。
何といっても仕事の都合で釣りに行けないというのは一番腹立たしい。
子供の世話とか、家事とか、かみさんにダメと言われたとかだったら仕方ない。
子供は親が世話をしなくちゃならないし、子供が子供であるうちは親が必要だからだ。
家事に関しても今やらないと洗濯物がたまったり、家がゴミ屋敷になってしまったりする可能性があるのでこれもまあ仕方ない。
かみさんがダメと言っている……ということに関しては家庭内の平和を保つための最優先事項である。
こんなことを話すと、うちのくまさんはとんでもなく夫を束縛しているように思えてしまうが、意外とそうでもない。
それは釣行に関していつもダメと言われるわけではないからだ。
どちらかと言えば『いいよ』と快く送り出してくれる方が多い。
だからこそダメと言われるにはそれなりの理由がある。
案外、優しいくまさんなのだ。
そもそも釣りより家庭が大事なのは言うまでもない。
しかし仕事は所詮、仕事だ。
生活を成り立たせ、楽しむために仕事しているのだ。
だから家庭や楽しみを犠牲にして仕事するなどという考え方はまったくもってナンセンスなのである。
それにしても……今も昔も仕事が嫌いなのになぜかよく働くことになるのはなぜなのだろうか。
前の職場でも気が付けば22時頃まで残業したり、休日出勤をしたりしていた。
嫌いなものに自己犠牲するというのは本当に苦痛である
よく仕事のできる独身女性が『結婚しても仕事も続けたい!』と言っている話をいろんなところで聞く。
いやあ……
ぜひともお願いしたいものだ。
そんな話をボケたつもりで、かみさんに言ったら、何かつっこまれると思いきや……
静かに首を横に振るだけだった。
『それあかんやつや!』
と、軽くつっこんでもらえると思ったのだが……。
とにかく……何か言われるより恐ろしいので、できる限りその話はしないようにしている。
少し前のことだが、当時、失業中であったことを心配した妹に『どんな仕事したいの?』と聞かれたのだが、酒も入っていたということもあり、つい本音でこう言ってしまった。
『楽な仕事……』
そんな仕事がないことぐらいは一応理解しているつもりである。
何が言いたいかというと、要はそれぐらい仕事が嫌いなのだ。
まあ……こんなところで自慢気に話すような話でもない。
それにこんなに仕事嫌いをアピールしたところで仕事がなくなるわけでもないし、生活していくためにはちゃんと仕事はしなければいけない。
満月の夜は魚が釣れないことと、釣りばかりしていては生活できないということは、さすがのボクでも理解している……つもりだ。