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妄想

12、妄想

釣りに行かない日も釣りの妄想をしていることが多い。

その癖に、釣りの小説は書けないのだ。

なぜか・・・。

理由は簡単。

都合のいい妄想しかしないからである。

小説にする場合、基本的には都合のいい話ばかり書くわけにはいかない。もし、釣りの小説を書くとしたら、書く釣り物の仕掛けから釣り方、そしてエサやポイント、道具など・・・すべて書き込まなければならない。

しかも、その釣りの素晴らしさもその話に盛り込む必要がある。

さらに釣れないシーンも書かなければならない。

そのためには都合のいい妄想だけでは書けないのである。


さて・・・。

都合のいい妄想とはなにか・・・。


言うまでもなくただただガンガン釣れる妄想である。

その妄想の中ではどんな釣り方でも仕掛けを入れるとすぐに魚信があるのである。

もちろん現実にはこうは行かない。


で・・・この妄想、なにがたちが悪いかというと、その妄想を信じ切って釣りに出かけてしまうところである。こうやって書いてみるとつくづくボクってアホやなあ・・・と思うのだが、この妄想がやめられない。

そして釣りの話を他の人に話すときもちょっと妄想混じりで話してしまうのだ。

『言ってるほど釣れないこと多いよね。』

かみさんによく言われる言葉である。

たしかにかみさんの言葉は事実であり、そういう過大妄想からくる言葉はすべて釣りに行っていないときのこの妄想から作り上げられるのである。

ただこの妄想は、まったく人畜無害な妄想なので許していただきたいものではある。


しかし、この妄想・・・。

確かに人畜無害なのだが、妄想により引き起こされる行動に関しては我が家には甚大な害を与えることが少なくない。

というのも、釣れる妄想には新しい釣り道具は必須だからである。

たとえば、先日行ったLTアジ(ライトタックルの略でLT)だがこれに関して話すと、こういう発想になるのである。

1、アジが釣れて楽しかった。

2、もう少しタナの取り方をうまくできるようになればもっと釣れるかも・・・。

3、LTもいいけどビシ釣りもいいなあ。

4、電動リールなら簡単にタナが取れる。

5、ああ~!!電動リールがほしい!!!

6、購入。

7、よし!!次の釣行はいつにしようかな~。

こうなるわけである。

ただいくら浪費家のボクでも2~3万は下らない電動リールをほいほい買うわけには行かないので、これはあくまで一例である。

買うわけにいかない・・・というか買った後のかみさんの反応が怖いのである。

とにかく・・・この例からわかるとおり、妄想があるところに浪費があり、浪費があるところにこの都合の良い妄想があるのだ。

まあ、そう考えると人畜無害でもないのかもしれない。


新しい釣り具を買ったら釣りに行きたくなる。

これは間違いない。

『釣り』という最高に面白いスポーツを趣味にしてから、早20年以上がたつので、ボクもこの妄想とはうまく付き合っている。とりあえず浪費しすぎてかみさんを怒らすようなことはしていない。

まあ、だからこそ電動リールまでは手を出していないわけだ。


ボクが釣りを始めたのは中学の時であるが、その頃はその妄想がやめられなかった。

ただでさえ思春期の多感な時期だから想像力もたくましかった。

中学の頃は受験勉強の代わりに釣りの本を読んではハリスや針を結んだり切ったりして新しい仕掛けを作ったり、ノートに休日の釣りの予定をこと細かく書いたりして、まったくと言っていいほど勉強をしなかったことを覚えている。

中学のころはこの妄想とはうまく付き合うことができなかった。


まあ・・・。

別にうまく付き合う必要もないので、それはそれでいいのだが・・・。

学校の授業中であろうが、塾に行く途中だろうが・・・ボクは釣りのことで頭がいっぱいだった。


この頃、一応ボクは美術部に所属していた。

真面目に活動に行っていたのは中学1年の最初のころだけだった。

美術部での活動で、デッサンの基本を覚えたので、ボクはそこそこのイラストが描けるのだが、今考えてみると、もう少し美術部で真面目に活動しておけば、イラストの技術は今よりも格段に向上していたはずだと思う。

そう思うと本当にもったいないことをしたなあ、と思うのである。

ただ・・・美術部の活動に心底打ち込めなかったのは釣りに原因があるのだ。


これは今でもそうなのだが、釣りの楽しさに比べると、イラストを描く楽しさは小さく感じてしまうのだ。ボクにとっては何をどこでどう釣ろう、ということを考えるのは、何にも変えがたい楽しみなのである。


さて・・・。

そこまで好きな釣りなのだが、妄想とは裏腹にいい思いをすることは非常に少ない。

中学の頃はとくにそうだった。

海釣りというのは中学生にとっては難しいものなのかもしれない。

いつも妄想ではクロダイを釣っているのだが、実際にはボラも釣れないということが多かった。

今でこそ車も運転できるし、ある程度釣りにお金をかけることもできるのだが、中学、高校と学生時代はそういうわけにはいかないのが現実だ。

それで現実でいい思いができないもんだからどうしても妄想に走ってしまうわけである。

まあそれは今でもありがちなことではあるのだが・・・。


四六時中釣りができれば妄想もしないのかもしれない。

毎日、釣りに行ければ、おそらくこういう妄想の類はないだろう。

ただ、やはりめったに行けないから、都合のいい妄想を自分のうちに作り出して、一人で楽しんでしまうのである。


こう考えるとボクは学生時代から何も成長していないのかもしれない。

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