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「微笑む氷の先輩と、震え上がる金髪のアイツ

週末を一緒に過ごした二人は、少しだけ縮まった距離を胸に抱いて、いつもの日常へと戻ります。

今回の章では、灰宮先輩に手作りのお弁当を渡す結城の献身的な姿と、彼にできた新しい友人の登場を描きます。

無愛想な彼女が学校で見せた意外な反応と、賑やかな新キャラクターの掛け合いをお楽しみください。

月曜日の朝。結城はいつもより早く起き、二人分の朝食と学校へ持っていくお弁当を作り終えた。

温かい紅茶を淹れて寝室へ向かい、灰宮を起こす。

「山城さん、朝ですよ。朝食にしましょう」

「……ん、わかったわ」

しばらくしてリビングに出てきた彼女と並んで朝食を済ませると、結城は彼女の前に丁寧に包まれたお弁当箱を差し出した。

「……何、これ」

「お弁当です。今日の昼休みに食べてください」

「いらないわよ。私、学校でお昼なんて食べないし」

「まあ、一度試してみてくださいよ。自信作ですから」

結城に押し切られる形で、灰宮は少し戸惑いながらも、その弁当箱を自分のバッグへと仕舞い込んだ。

学校へ向かう道中、結城がふと思い出したように尋ねた。

「そういえば山城さん、うちの学校の文化祭って、例年どんな感じなんですか?」

「知らないわ。今まで一度も参加したことがないもの」

そう答えて校舎の階段に足をかけた彼女は、ふと立ち止まり、結城の方を振り返った。

「……でも、今年は参加してみてもいいかなって、ちょっと思ってるわ」

ほんのりと頬を染め、少し悪戯っぽく微笑む彼女に、結城はドギマギしながら答えた。

「そ、そうですね。ぜひ参加してください」

昼休み。灰宮が自分の教室で結城のお弁当を開き、最初の一口を運ぶと、彼女の顔に自然と笑みがこぼれた。

「……美味しい」

その瞬間、教室中が静まり返った。あの「氷の先輩」が学校でお弁当を食べている、しかも笑っている――。その光景は、生徒たちにとって大きな衝撃だった。

一方、結城のクラス。

「よし、昼飯を食べたらバスケ部の連中は試合の準備だぞ」

先生の声が響く中、結城の隣の席の男子が「あちゃー……」と机に突っ伏した。

「……どうしたんですか?」

「いや、弁当忘れたんだよ。これから試合だってのに、腹減って動けねーわ……」

「もしよかったら、僕のを分けましょうか?」

金髪で少しチャラそうなその男子は、パッと顔を上げた。

「マジで!? 恩に着るよ、茶髪の兄弟!」

お弁当を分け合ううちに、二人はすぐに打ち解けた。彼は飯泉斎藤いいずみ さいとうと名乗り、驚くほど社交的な性格だった。

「サンキュな結城! 試合、見に来てくれよ!」

斎藤に誘われ、結城は体育館へ向かった。コートの中で躍動する斎藤の姿は、教室での軽い雰囲気とは裏腹に、真剣そのものだった。

結果は、斎藤のチームの勝利。

「見たかよ、俺のシュート!」

試合後、爽やかに駆け寄ってきた斎藤に、結城は「すごかったですね」と笑いかけた。

「さて、これから誰かを探しに行くところなんだけど……」

「お、誰だ? 俺もついてってやるよ!」

斎藤に強引に腕を引かれ、二人は一緒に歩き出した。

廊下を歩いていると、向こうから灰宮がやってきた。

「結城、ちょっと保健室に来なさい」

「あ、はい……」

結城が答えようとした瞬間、灰宮の視線が斎藤に突き刺さった。

その目は、底冷えするような恐怖と殺気に満ちていた。

「ひっ……!」

さっきまで威勢の良かった斎藤の顔が、一瞬で紙のように真っ白になる。

保健室に到着すると、そこにはいつもの養護教諭がいた。

「あら結城くん、山城ちゃんと本当に仲がいいのね。友達なの?」

「……ええ、まあ。昨日も一緒に映画に行きましたし」

「へぇ、そんなに親密なのね」

先生の言葉に、結城は少し照れくさそうに「はい」と頷いた。

その背後で、灰宮の威圧感に怯えきった斎藤が、震えながらそっと部屋の中へ足を踏み入れた。

お読みいただきありがとうございます。

結城の「胃袋を掴む作戦」が成功し、灰宮先輩が学校で初めてお弁当を食べるという、大きな一歩を描きました。

そして、新しい友人の斎藤くん。明るい彼ですが、灰宮先輩の殺気には勝てなかったようですね。

果たして斎藤は、この「危険な二人」の仲にどう関わっていくのか。

次回も目が離せません!

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