高校の初日
初めまして!新連載のスタートです。
白い髪の少年・幸輝と、学校で恐れられる少女・八宮。二人の不思議な出会いの物語をお楽しみください。
校門の前に立ち、俺は大きく息を吸い込んだ。
見上げる校舎は、春の陽光を浴びて眩しく輝いている。
俺の名前は、結城 幸輝。
鏡を見なくてもわかる。少し珍しい真っ白な髪と、蜂蜜のようなハニーブラウンの瞳。それが俺の特徴だ。
「……今日から、高校生か」
自分に言い聞かせるように呟くと、俺は一歩を踏み出した。
昇降口へ向かい、指定された下駄箱に靴を入れる。真新しい上履きに履き替え、自分の教室へと歩みを進めた。
その時だった。
ざわついていた廊下の空気が、一瞬で凍りついた。
生徒たちが波が引くように左右に分かれ、道を作る。その中心を、一人の少女が歩いてきた。
透き通るような銀髪。吸い込まれそうなブルーの瞳。そして、耳元で鋭い光を放ついくつものピアス。彼女が通るたび、周囲からは「ひっ」と息を呑む音が聞こえる。
「……怖っ」
「近寄るなよ、目を合わせるな……」
すれ違いざま、誰かが小さく囁いた。
けれど、俺にはそうは見えなかった。凛とした背中、誰にも媚びない視線。
「怖い……か?」
俺は思わず独り言を漏らした。
彼女はただ、ひどく孤独に見えたから。
教室に入ってからも、授業の内容はほとんど頭に入ってこなかった。窓の外を眺めながら、あの銀髪の少女——八宮のことを考えていた。
放課後。
突然、クラスの女子が教室に駆け込んできた。
「結城幸輝くん、いる!?」
「あ、はい。俺だけど……」
「保健室の先生が呼んでるよ。すぐに行って」
心当たりはなかったが、俺は立ち上がって保健室へと向かった。
ガラリと扉を開けると、そこには保健医の姿はなく、五人の男子生徒がたむろしていた。彼らは俺の顔を見るなり、ニヤニヤと下品な笑みを浮かべる。
「おい、保健室を掃除しとけよ。先生は留守なんだ」
一人がほうきを俺の胸に押し付けてきた。その拍子に、彼は机の上にあった備品の箱を蹴飛ばした。
ガッシャーン!
静かな保健室に、激しい音が響き渡る。
その直後、ベッドを仕切るカーテンが勢いよく開いた。
「……何の騒ぎ?」
そこから姿を現したのは、あの銀髪の少女、八宮 山城だった。
彼女の冷徹な眼光に射抜かれ、男子生徒たちは顔を真っ青にして逃げ出した。
「……っ」
俺だけがその場に残される。八宮は面倒そうに溜息をつくと、ベッドの端に腰を下ろした。
「……また、掃除を押し付けられたの?」
彼女の声は、廊下で聞いた噂とは違い、どこか優しさを孕んでいた。
「また?」と聞き返そうとした俺の言葉を遮るように、彼女はふいっと視線を逸らして部屋を出ていってしまう。
一人残された俺は、彼女が座っていた場所を見つめ、困惑に包まれていた。
第1話を読んでいただきありがとうございます!
謎めいた少女・八宮と幸輝の距離がこれからどう変化していくのか。
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