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先手必勝

私達は一旦客室に戻り着替えたあと、ロビーに向かった。既にマサさんが除雪作業を始めている。


「あっ、華凛ちゃん達、今から行くのかい?」


「はい、善は急げと言いますし」


「あはは!うん、そうだよね!それじゃ、用具室に置いてあるスノーシューと、スキー用のゴーグルを使ってよ」


「ありがとうございます!使わせていただきます!」


「それにしてもビックリしちゃったよ。今日は一日中猛烈な吹雪って話だったからさ。昨日から今朝方までは断続的に吹雪いただけだったみたいだし、思った以上に雪が積もらなくて良かったよ。ここに来てから割と経つけど、こんな事は初めてだね」


もしかしたら、本当にいるのかもしれないな、雪山夜叉。


私はそんな事を感じつつ、借りたスノーシューを履き、強烈な光の反射から目を保護する為にゴーグルを装着して、お姉ちゃんを先頭にしつつ、旅館裏手の森まで歩いて行った。


「何かある お姉ちゃん?」


歩きながら、私は念の為テレパシーで尋ねる。


「ううん、今の所 特には。こっちの方は誰も来ないんだね」


森に到着した。辺りに目を凝らすと、何やら不自然に雪が盛り上がった場所が2ヶ所あった。


その一方へ近付いて行くと


「ん?......この雪の下にある物を跨いで、細長い直線状の跡があるみたい」


と、お姉ちゃんが教えてくれた。


「どの方角に向かってる?」


「近くにある あのもう一方の盛り上がった場所に向かってるよ」


なんとなく予想はしているのだが、直線状の跡については後で調べるか。今はこの雪の下にあるものを調べる方が先決だ。


雪を退かすと、黒いポリ袋が姿を現した。このポリ袋は旅館の作業部屋にも同じ物が置いてあった気がする。


私達は袋を開けた――そこに入っていたのは人間の内臓だった。


「403号室の浴室の血痕のDNAや、玄関ドアの内側のノブに付着していた皮脂のDNAと一致するし、安藤さんで間違いないと思う」


袋を発見した所から3m程離れた場所に位置する、もう一方の盛り上がった方へ近付き雪を退かすと、やはり黒いポリ袋が現れ、中には安藤さんの頭部と内臓の一部が入っていた。


その後、お姉ちゃんの後ろについて行って他の袋も探した所、最初に見つけた2袋を含め、計6袋見つかった。


その内訳は、片方の手と足がセットになって入ったものが2袋、胴体が第2~第3腰椎で分断されて入っていたものが2袋、頭部と一部内臓が1袋、内臓のみが1袋となっていた。


また、それぞれの袋は2袋1組でペアになっている様に近くに放置されていて、どのペアの間にも さっきお姉ちゃんが言っていた直線状の跡が雪の下に隠れているらしい。


「死因は高カリウム血症による心停止。あと、クロロホルムの代謝物であるトリクロロエタノールも確認出来るから、クロロホルムで気絶させられたあと、高濃度の塩化カリウム溶液を静脈注射されたんだろうね。

もしかしたら、堤さんも同じようなやり方で殺害されたのかもしれない」


「そうだね」


「死亡推定時刻は、遺体の切断面の鮮度から解体に6時間位かかって、その後ここに放置された事も考慮すると、mRNAの分解度合いと骨髄のヒポキサンチン濃度から、昨日の午後8時から午前0時までの間って感じかな。

ただ、袋の上の積雪量がやや疎らだったけど、一番多い積雪量から推察すると、多分、遅くても午後10時30分までには殺害されてるんじゃないかな」


因みに積雪量が一番多かったのは手足が入ったポリ袋の上だった。


うん、ここまでは推理通り。


「あとは...解体部位が多かった割に、解体にかかった時間を考えると かなり手際が良いから、間違いなく知識や技術がある人だと思うんだけど、普段はメスとかを使ってる感じなのに、鉈で叩き切ったのか、切断面が所々大雑把になってたりして、なんというか、あえて素人を装ってるって感じがする。

それと、胴体の切断部や、頸部の切断部に滑らかで平行な溝が幾つか並んでるのが見えるんだけど、これは堤さんと同じで横引きの鋸で切断した時の特徴だね」


ああ、やっぱりね。


「ありがとう、お姉ちゃん。取りあえず他にも何か無いか軽く探したあと、マサさんに報告しに行こうか」


「うん、そうだね」


私達は周辺を探してみたが、特に他に何かが雪に埋まってるというような事はなかった。


ついでに、例の直線状の跡を辿って行った先の木のやや上部を、スマホのカメラでズームして見てみる。


...やっぱり小さな穴が空いている。

高さは大体8m位か。


直線の端に木があるとすると、全部で3本ある直線のもう一方の端は、全て旅館のある一点に集まっていた。


あと、両端の距離はどこも30m程で、バラバラ死体が入った袋が置いてあったのは、旅館側の端から20m前後の辺りだった。


「崖の方も見に行ってみようか」


私が提案し、そちらへ向かう。


転落防止用の柵があるとはいえ、結構高くて怖い。崖下までは大体40mちょっとといった所だろうか。


木が鬱蒼としているので、下の状況はここからでははっきりとは分からないものの、マサさんが言っていたように、近くには道路が通っていた。


......よし、調べられる事はこれで大体調べ尽くした。



私達は除雪作業中のマサさんの所に来た。


「おお、華凛ちゃん達、どうだった?」


「やっぱり安藤さんは殺害されてました。遺体はバラバラになった状態で袋に入って裏の森に遺棄されてます」


「......そっか...今朝、華凛ちゃんの話を聞いて覚悟してたつもりだったんだけどな...」


マサさんの目が潤み、鼻声になる。


「マサさん、一つ確認したい事があるのですが、旅館のお風呂って午後11時までという事になってますけど、その時間になったら一回大浴場を見て回ったりとかはするんですか?」


「ん?ああ、そうだね。脱衣所に何も無くても一応大浴場の方まで見て回るよ。偶に酔っ払ったお客さんが服を着たまま大浴場の中にいる...なんて事もあるからね......あっ!そういえば先週も誰かが11時過ぎに大浴場にいたよ。

確かあれは......そうだ!あの荷物を少し多めに持っていたっていう上川さんだったよ!結構酔ってる感じだったから肩を貸そうとしたら、自力で歩いて部屋まで帰って行っちゃったんだよね」


「そうだったんですね......因みにマサさん達って何時位に寝ていらっしゃるんですか?」


「源さんは夕食の時間が終わったら、わりとすぐにって感じだから午後10時過ぎには寝てるんじゃないかな。朝食の支度もあって、うちでは一番早起きだしね。

僕達は大浴場の見回り以外だったら午後10時半過ぎには全ての業務を終えて、寝るのは大体11時半頃って感じだね。因みに大浴場の見回りはいつも僕がやってるよ」


「朝も早いですし大変なんですね...ありがとうございます。

...えっと、それでですね、実は犯人が分かったのでマサさん達に協力していただきたい事があるんですが...」


「そっか、そうだよね...犯人なんて簡単に見つかるわ......って、えぇ!?もう犯人が分かったの?」


「はい。次に誰を狙うのかまではっきりと」


「そっ、それで、いっ、一体誰が!?」


「それは次の犠牲者になる予定の方を交えてお話しますね」



○ぬおぉぉぉぉ~~~、あっつい展開になって来ちゃいましたね!!


はい、そうです!ここまでで全ての手掛かりが出揃いました!


今回、皆さんに推理していただきたいのは―――


犯人は誰で、どうやったのか?


次の犠牲者は誰で、どうやって殺害するつもりなのか?そしてその目的は?


です!


皆さんだったら、犯人の次の行動を推理した上で、どう詰めますか?


次回からワックワクの解決編です♫○

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