第2話 愉快な神代家
登場人物
・結
・結の妹
・結の母
愛媛県・松山市のとある住宅街。
その中の一つに、結の実家がある。
「ただいま〜」
何となく、実家に帰省してきた結。
「おかえり、お姉ちゃん」
出迎えてくれたのは、結の妹――沙奈だった。
「ただいま、沙奈。元気にしてた?」
「そりゃあもう、ピンピンしてるよ」
結の問いに、沙奈は笑顔で答えた。
「あら、結。おかえり」
「うん、ただいま。お母さん」
靴を脱ぎ、リビングにあるこたつに入った。
「やっぱり、ここが一番落ち着くや〜……」
結は、とても幸せそうな顔をしていた。
すると、みかんをむきながら、沙奈が話しかけてきた。
「そういえば、お姉ちゃん。最近、仕事はどうなの?」
「仕事? うーん……まあ、いい感じかな」
「ふーん。あのお姉ちゃんが、まさか魔力保安官になるとはなぁ」
「ちょっと、変なこと言わないでよ」
ちょっとやばそうだと思った結が、沙奈を止めようとしたが、無理だった。
「えー? お姉ちゃん、中学の時は運動できなかったじゃん?」
「くっ……それは……そうだけど……」
そこに、母がやってきた。
「ほら、坊っちゃん団子とお茶よ」
そう言って、結の前に、坊っちゃん団子とお茶を置いた。
「ありがとう。でも、珍しいね。坊っちゃん団子なんか出してきて」
「結が久しぶりに帰ってきたから、せっかくなら愛媛のものを出してみようかな〜、と思ってね」
母は、そう言って笑顔で答えた。
結が坊っちゃん団子に手を付けようとした、その時。
沙奈が、ふと思い出したように口を開いた。
「そういえば、お姉ちゃんって、中学の時、すk……ヌ……」
沙奈が何かを言いかけたところで、結が慌てて手を伸ばし、沙奈の口を塞いだ。
「そ、それ以上、言うんじゃないよ……」
結の顔は、真っ赤だった。
「ぬふぁい」
口を塞がれている沙奈は、うまく物が言えなかった。
すると、そこに再び母が現れた。
「二人して、何してるの?」
顔を真っ赤にした結が答える。
「な、なんでもない……」
「お母さん、ちょっと買い物行ってくるけん。仲良くしてね。」
「は〜い……」
こうして、母は出かけていった。
母が出かけると同時に、沙奈はさっと立ち上がり、押し入れを開けた。
そして、そこから結の中学の卒業アルバムを取り出してきた。
「ちょ、ちょっと、待て〜!」
結は、こたつから立ち上がろうとした瞬間、足をつってしまい、その場から動けなくなった。
その隙に、沙奈は素早く卒業アルバムを開いた。
「や、やめて〜……」
この時の結は、完全にか弱な女の子になっていた。
「ふっ……ふっ……お姉ちゃんが好きだった子は、この子かな?」
沙奈は、結が好きだった男の子の写真を、わざと見せびらかす。
「やめてよ〜……うぅ……逃げたい……でも、立てない……」
「そうでしょ、お・ね・え・ち・ゃ・ん」
意地悪そうな顔で結を見つめる沙奈と、顔を真っ赤に染めた結。
とても愉快な、神代家であった。
おしまい。




