7 友人たちに看破されました
「ちょっと、リィン! 説明して!」
「あ、あのアレックスさんって……!」
リィンが一人になると、友人のカミラとシンディーが駆け寄ってきた。
彼女らの表情から、あ、もうバレてるなと確信するリィン。
「えっと……事情を説明するから、カフェに行きましょう?」
リィンがそう言うと、二人はリィンの左右からがっちりと包囲してきた。
これは逃げられないとあきらめたリィンだった。
カフェに移動し、紅茶とケーキで一息つくとリィンは二人にこれまでの事情を語った。
話が終わる頃には、二人は無言で頭を抱えていた。
「いや……経緯は分かったけどさ……。だからって、そうだったの、なんて素直に言えないわよ……」
「アレックスさん、正気を失ってるんじゃないの……?」
カミラとシンディーには、アレックスを紹介したことがあった。もちろんきちんとした男性の姿をしている時に。背は低めだが素敵な男性だと二人も認識していたのだが、まさか再会したら美少女になっていたなんて。
「前に紹介してもらったときも、リィンのこと溺愛してるのは分かってたけど……行き過ぎじゃない?」
「リィンは嫌じゃないの? 婚約者が女装するなんて」
二人の反応は当然のものだ。リィンは苦笑した。
「そりゃまあ複雑な心境よ。男とはいえアレックスが他の人とイチャイチャするなんて」
「え? そっち?」
「女装はいいの?」
「だって、アレックスすごく可愛いんだもの。似合ってるんだからいいじゃない」
「「……」」
カミラとシンディーは、リィンもたいがい変わり者だと沈黙した。
婚約者の女装に寛容どころか、むしろちょっと好意的ではないか?
「ま、まぁリィンが納得してるならいいけど。ハニートラップなんて褒められたことじゃないけど、ハワード様もちょっとは痛い目を見ないとね」
「少しお可哀想な気もするけど、他の生徒に迷惑がかかるのはよくないものね」
「私としては早くネタばらしをして解決したいんだけどね。……本当は学園でアレックスとイチャイチャしたかったのに……」
ぽつりと呟いた最後のセリフにリィンの本音が隠れていた。
カミラとシンディーは顔を見合わせると、それぞれリィンの腕に抱き着く。
「うわっ! なに!?」
「寂しがらなくても、リィンには私たちがいるでしょうが!」
「さ、これから街に出てお買い物しますわよ!」
二人に引きずられながら目をぱちくりとさせたリィンは、彼女らの気遣いに胸が温かくなった。
「……えへへ。二人とも、大好き」
「あら奇遇ね。私もよ」
「当然、私だって!」
三人はぺちゃくちゃとおしゃべりをしながら、ショッピングを楽しんだのだった。