22 経過報告という名のわちゃわちゃ
ヘイゼルと王妃のお茶会は、おおむね平和的に終わった。
途中、王妃が号泣しながら謝って来る場面があったりと波乱万丈なお茶会ではあったが、終わり良ければ全て良しというやつだ。
ヘイゼルが性別詐称について謝罪すると、王妃は自分が全て悪いのだと誠心誠意ヘイゼルに謝り倒した。
最終的に、国内にいようと他国へ行こうとヘイゼルには王妃がガッチリと支援することになり、結果としてヘイゼルは最強の後ろ盾を手に入れたのであった。
★ ★ ★
「これで、俺とヘイゼルの結婚も問題がなくなった!」
満面の笑みでガッツポーズをとるオリバーに、アレックスが呆れた目を向けた。
「……お前、ぶれねえな」
「当たり前だろ! 俺はヘイゼルを逃がすつもりはないんだよ!」
「こっわ……」
カルナッタ邸の応接間にて、リィン、アレックス、オリバー、ヘイゼルの四人が計画の進捗状況について話をしていた。そして今回はなんと、ニューフェイス、イアンも参加している。アレックスとヘイゼルが半ば無理やり引っ張ってきたのだ。
最初は少し居心地悪そうにしていたイアンだが、オリバーやリィンが積極的に話しかけることで緊張も取れたようだ。
王妃とのお茶会の経緯を聞き終わったところだったのだが、オリバーの発言のせいで場が微妙な空気になった。
おそらく、オリバーにはストーカー気質がある。三人は、ヘイゼルが少しだけ心配になった。
「ヘイゼル、いいの? オリバー様、もうあなたと結婚前提で動いてるみたいだけど……」
リィンが問うと、ヘイゼルは穏やかに微笑んだ。
「私もオリバー様をお慕いしているので、光栄です」
「あらまぁ……」
幸せそうに頬を染めるヘイゼルは、以前のようなオドオドした雰囲気が無くなり、自信に満ちていた。
(すごいわ……。ヘイゼルはオリバー様の愛を受けて、女性としての自信を取り戻したのね)
「オルセン家にも挨拶に行ったしな。うちの家族にも報告して了承を得ている。何一つ障害はないわけだ!」
胸を張るオリバーに、リィンは素直に感心した。王族の婚約者をこれほど短期間に認めるなんて、普通に考えてあり得ない。きっとオリバーは相当な努力をしたはずだ。
そして、それをヘイゼルも理解している。
「オリバー様にふさわしくなれるよう、己を磨いていく所存です」
「ヘイゼル……! ああ、なんて健気なんだ……!」
見つめ合うオリバーとヘイゼルが二人の世界を作りそうになったので、アレックスが二人を現実に戻した。
「そういうのは後にしてくれ。ここからが計画の詰めなんだからな」
「お前にそんなことを言われるとはな。お前だって、何かといえばリィンがリィンがとうるさかったくせに」
「そ、それはっ……」
「え、その話詳しく聞きたいです、オリバー様!」
気まずさに目をそらすアレックスに対し、目を輝かせて前のめりになるリィン。
話がころころと脱線していくのを、イアンの発言が止めた。
「ハワードは卒業式後のパーティーでアレックスに告白するつもりだ」
「なるほど。卒業式後のパーティーは、告白ラッシュだものね。ハワード様は王道派なのね」
うんうんと頷くリィン。
卒業式は厳かな雰囲気で行われるが、その後のパーティーは卒業生のみ参加のどんちゃん騒ぎだ。学生最後のイベントであり、ここで最後のバカ騒ぎをして子供時代に終止符を打つのである。
このパーティーでは酔っ払いがあふれ、カップルが成立したり破局したりと、まあとにかく何でもありの騒ぎとなる。多少の黒歴史を作ったとしても、このパーティー内であれば外に漏れることはほとんどないので、リィンたちはここでプチざまぁをするのはどうかと考えていた。
「ちょうど良かったな。ハワード殿が告白してくる前に、こちらが実行すればいいだろう」
オリバーが言うと、ヘイゼルも同意した。
「少し心苦しいですが……これを機に、ハワード様にも大人になってもらいましょう」
かくして、卒業後のパーティーにて、プチざまぁが決行されることとなった。




