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11 嵐の来訪者

リィンとアレックスが登校すると、普段よりも生徒たちがざわめいているのが分かった。

誰もが興奮しているようで、そこかしこでおしゃべりの花が咲いている。


「リィン! アレックスさん! 聞いた? 今日、隣国から視察の方がみえるそうよ!」


駆け寄ってきたカミラの言葉に、アレックスが首を傾げた。


「視察? そんな予定は聞いてないけど~?」

「どなたがいらっしゃるのかしら?」

「それが、何と! 第二王子のオリバー様ですって! 女子生徒はみんな浮かれてるわよ。 なんたって超のつく美男子ですもの」

「「な、なんだってぇぇっ!?」」


リィンとアレックスは同時に絶叫した。



★   ★   ★



「お、お前、アレックスか!? すげー化けたな! ぶっはははは!!」


人払いされた応接室で、リィンとアレックスはオリバーと向かい合ってソファに腰かけていた。学園側が気を利かせたのか、三人以外誰もいない。

アレックスは苦虫を嚙み潰したような表情でオリバーを見た。


「……なんでお前がここにいるんだよ……」

「おいおい。女装してる時はマリリン・スミス嬢になりきるんだろ? 言葉が崩れてるぞ?」


からかうように言うオリバー。リィンはようやくアレックスがモノマネをしている男爵令嬢の名前を知った。まあ、どうでもいいことなのだが。


「オリバー様はぁ、お暇なんですかぁ? それとも~友達いなくて寂しいから、あたしのこと追ってきたの?」

「お前なあ……」


開き直ったアレックスに、オリバーがため息をつく。


「俺のおかげで女装して学園に通えるようになったんだから、少しは感謝とかしたらどうなんだ?」

「それはそれ、これはこれよ! オリバーが来る必要ないじゃないの。何しにきたわけ?」

「こんな面白そうなこと、ほっておけないだろうが。俺も例の三人組を見てみたくなったんだよ。あと、お前の女装も」

「悪趣味ね~」


何だかんだ楽しそうな二人にリィンはほっこりする。親友同士の彼らは、とても仲が良いのだ。


「それに、俺だってリィン嬢の心の憂いを晴らしたいからね。美しいリィン嬢には笑顔でいてほしいんだ」

「まあ、オリバー様ったら」


女性とみれば口説くようなオリバーは、常にさらっと甘い言葉を吐く。すかさずアレックスがリィンを抱き寄せた。


「あたしのリィンを口説かないで!」

「ほんとにお前は心が狭いな。まあいい。せっかくだから、例の三人を紹介してくれよ。俺とお前はハルヒッシュでのクラスメイトだったって設定にするから」

「設定も何も事実だけどね~。いいわ、行きましょ。あっ、そうだ! せっかくだから、オリバー当て馬やってちょうだいよ」

「は? 当て馬?」

「そうそう。あたしのこと狙ってる設定にして、ハワードを牽制してくれない? ハワードの恋心を更に燃え上がらせるの!」

「うわ……性格悪いな。しかし、お前を口説くのかぁ。あんまり気が乗らないんだが……」

「いつもやってるから簡単でしょ! ほら、早く行くわよ!」


意気揚々と応接室を出るアレックス。いつもうちの婚約者がすいませんとリィンが声をかけると、いつものことだから慣れてるよとオリバーはため息をついた。




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