これってラブコメ....?
第3話です。
よろしくお願いします!
初めての授業は想像以上に地獄だった。
何がって、俺にはこの世界の基礎知識がまったく無いのだ。
「え〜、じゃあこの魔法陣を使って初歩的な火球を出してみましょう〜」
うん、何言ってるかわからん。
教室ではみんなが当然のように魔法陣を描き、火の玉をぽんぽん出していた。
……この世界、魔法使えんのかよ。
俺だけ机の上に意味不明な図形を描いて、結局何も起きず、先生に首をかしげられる始末。
「アクリス君は……少し、詠唱の練習が必要そうですね」
いや、練習でどうにかなる問題じゃねえ。俺にはそもそも魔力ってやつがあるのかすら怪しい。
**
授業が終わり、昼休み。
再びスピカが俺の席にやってきた。
「どうだった?授業、ついていけた?」
「……まぁ、色々新鮮だったよ」
「そっかそっか〜!アクリス君、なんだか見てると放っておけないんだよね〜」
そう言ってにこっと笑う彼女を見て、俺はなんとなく気を抜いてしまう。
今の俺にとって、彼女の存在は、マジで救いだ。
「よかったら、今日の放課後ちょっと街を案内しようか?」
「いいのか?」
「うん!どうせ帰ってもやることないし!」
おいおい、なんて優しさ……天使か?
俺は素直に頷いた。ここは頼れる人に頼るべきだ。
**
放課後。
スピカの案内で街を歩く。
……と、その時だった。
「おいお前!アクリスとかいう新入りか?」
突然、路地裏から出てきた三人組の不良っぽい奴らに囲まれた。
服装からして、どうやらこの学校の生徒のようだが、完全にアウトローだ。
「お前、昨日から突然入学して、しかも入学金は一括払い……どっかの隠し貴族だろ?」
うわ、やばい……勘のいい奴ってどの世界にもいるんだな。
「いや、俺はただの庶民だって」
「は?嘘つけよ、顔がもう貴族のそれだわ」
顔で身分がバレるこの世界、難易度高すぎんか?
俺が言い訳を考えていると、横からスピカが一歩前に出た。
「アクリスは本当に庶民よ!それに、何?3人で1人を囲んで……そんなの卑怯じゃない!」
「チッ、女が出しゃばってんじゃねえよ」
不良の一人がスピカに手を伸ばした、その瞬間――
バチィッ!!
「ぐわあっ!」
不良の手が、光に包まれて弾かれた。
スピカが構えを解く。まさか……今の、魔法?
「ふん、魔法くらい誰でも使えるのよ。舐めないで!」
おおお……かっけぇ。
「チッ、覚えてろよ!」
不良たちは退散していった。
**
「スピカ……助かった」
「へへー、言ったでしょ?困ったときは任せてって!」
俺はなんかもう、この子とならどんな世界でもやっていける気がしてきた。
「ねぇ、アクリス」
「ん?」
「……もし、本当に困ってたら、うちに来る?」
「へ?」
「私、今ひとり暮らしなんだ。実は親、ちょっと前に旅に出ちゃって……帰ってこないの」
「それって……大丈夫なのか?」
「まぁ、慣れたよ。だから、部屋余ってるし、しばらく一緒に住んでみる?その方が学校も通いやすいでしょ?」
え、ちょ、展開早くない?
……いや、でも、俺のこの路上生活を考えれば、これは神の救済。
「……いいのか?」
「もちろん!」
こうして俺は、庶民学校の美少女・スピカとまさかのルームシェア生活を始めることとなった――
……てか、これって、ラブコメの予感しないか?
第3話、どうだったでしょうか?
よければブクマや評価よろしくお願いします!