入学
第2話です。
よろしくお願いします!
「退学届けを出てきただと?」
俺は帰宅してお父さんに今日の学校の出来事を話していた。
「はい、もうあの学校はやめました、勝手なことをして申し訳ありません」
お父さんは激怒すると思っていたが、その予想は大きく外れた。
「自分の道を自分で切り開くことができるようになったのだな」
「お前の意志を尊重する」
「なぜ辞めたのかは聞かんが、これからどうするのかだけ教えてくれ」
え?いいの?学校辞めちゃったのに?
この家庭はとても良い教育方針なようで安心だ。
「俺はこれから、すぐ近くにある庶民学校に通おうと思っています」
「ほう、つまりお前は私たちの用意した道を自ら外れるということだ」
「それなら自分に責任が伴うことも分かるな?」
「はい、もちろんです」
ふぅ良い感じの雰囲気で乗り切れそうだ....
「よし、分かったなら今すぐ荷物をまとめなさい」
え?どういうこと?
文脈が読み取れない。
「荷物とはなんの荷物ですか?」
「何をバカげたことを聞いておるんだ」
「お前は今日からこの家の者では無い、本日付でここを出て行ってもらう」
は?はぁぁぁ????
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というようなことがあって俺はこの家から追放されてしまった。
良い親を持ったのやら悪い親を持ったのやら、もう分からなくなってきた。
とにかく今は新居を探して、生活できるような環境を作らねば。
不動産屋...不動産屋.....ってこの世界で不動産屋なんてあるのか???
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無かった.....不動産屋なんて無かった.....
お金もほとんど持っていないので宿を借りることもできない。
こうして俺の野宿生活が幕を上げたのであった。
最低限、学校の入学金は親が払ってくれた。
これがケジメだとか言ってた。
これが15年間育て上げた息子とのケジメなんてなんか切ないな.....
日も落ちてきてるし、ひとまず今日はこの公園みたいな場所で寝ることにしよう。
「冷たい......」
羽織っていた長めのマントを下に敷いて寝ようと試みるが、あまりにも寒い。
明日の朝も生きてますように..........
こうして俺は眠りについた。
あっという間に次の朝が来た。
眠れなかった、いや恐らく体は眠っていたのだが、寒すぎて疲れが全く取れていない。
寝起きの俺の姿は、昨日まで貴族だったなんで誰も思わないほどに荒んでいた。
これはスラム街の孤児って言っても通じるレベルだな。
ひとまず寝具を片付け、学校に行く準備を済ませる。
今日やるべきことは、学校に行き、バイトを探して、あわよくば宿もゲットする。
じゃないとこんな生活続けてたら明日の朝には冷たくなってる。
一人で生きていくってことがこんなに辛いなんてな。
日本では育児放棄だ。
俺が望んだことだ、少しやりすぎだとは思うが、お父さんの言った通り自分の行動に責任を持たねば。
俺は学校へと歩みを進めた。
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学校に到着して、下駄箱に靴を入れる。
「1年2組ってどこだ......」
学校側も俺が貴族出身だということは知らない。
ただ急に入学金が一括で支払われて急に通うことになった変な学生としか思われていない。
「おはよう!君昨日の入学式居なかったよね?」
俺が教室に入ると、ある少女が話しかけてきた。
うわっこれが陽キャってやつね。
容姿はこれ以上ないほど整っていて、庶民学校らしく飾り気のない、まさにナチュラル美人という感じだ。
後光が差しているレベルで俺からは輝いて見えた。
「おはよう、昨日は風邪をひいちゃってて」
「ふぅーん、見た感じよっぽど貧しい出身ぽいし、なんか困ったことあったら聞いて!」
「勉強以外のことならなんでもサポートするよ」
いや勉強はできないんかい!
「ありがとう」
やっぱり俺は貧しい出身に見えるらしい。
まぁそれはそれで身分隠せるしいっか。
「私の名前はスピカだよ」
「なんか輝き出しそうでしょ!」
本当に今にでも輝き出しそうな名前だ。
「俺はアルク.....いやアクリスだ」
「アクリスかぁ......とてもかっこいい名前だね!」
ふぅ、危なかった、本名を名乗ってしまうと貴族出身だということがバレてしまう。
俺の名前は思ったより世に通っているらしいからな。
「じゃ!授業始まるから戻るねー」
「あぁ」
なんにせよまず1人目の友達が出来た。
これから俺の学園生活が始まるんだな!
続く
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次回もお楽しみにー