パーティー、ドラゴンを助ける(2)
エヴァの剣先がドラゴンに群がるサンドセンティピードを切り裂いた。
「ドラゴンは任せましたわよ!」
一歩遅れてドラゴンを中心にサラが結界を展開する。
アイテムボックスからポーションを出して、サラとアレンが手分けしてドラゴンに振りかけてみるが、表面の傷が治るばかりでドラゴンは一向に動かない。
集まってこようとするサンドセンティピードを迎え撃つべく、エヴァは剣を構えた。
アレンの魔力譲渡もサラの結界も機能している。
狭い場所では大掛かりな魔法よりも魔力での身体強化が効果的だった。
一人で縦横無尽に跳び回るエヴァを時々確認しながらアレンはドラゴンの口にポーションを流し込んだが、ドラゴンの巨体には焼け石に水だ。
「この数は異常だ。近くに巣を作って繁殖している可能性がある。子供を育てるためにより栄養のある餌を求めているのかも」
「ポーションのストックがもうありません。どうにか……」
サラが不意に黙り込み、何かを考え始めた。
「サラ、何か案がある?」
アレンに促されて顔を上げたが、サラは何かを言いかけてまた口を閉じた。
「サラ?」
補給に下がってきたエヴァが、サラの両頬を掴んだ。
「サラ」
貴族の令嬢とは思えない力強い笑顔で、エヴァはサラとまっすぐ目を合わせた。
「なにが欲しいのかはっきり口になさいな」
「でも……」
「欲しいものを欲しいとおっしゃい。もうあなたは誰かのために我慢する聖女ではなく、冒険者サラですのよ」
サラの結界の外側にはサンドセンティピードが群がっている。
砂を巻き上げる足音は洞窟の中で嵐のように反響しているのに、サラにはエヴァの声がはっきりと聞こえた。
「失敗したってかまわなくてよ。そのときはドラゴンのことは諦めて、わたくしたち三人だけで逃げてしまいましょう」
それがエヴァなりの冗談だと分かっていたから、サラは口元を綻ばせて、そうしてやっと自分が肩に力を入れっぱなしだったことに気がついた。
「一か八か、案があります」




