パーティー、草原地帯へ行く(1)
エクシリアード・リブレは南の草原地帯を訪れていた。
少し離れた場所ではあるが、ギルドからこの地域でサンドセンティピードが大量発生しているという相談を持ち掛けられたからだ。
「サンドセンティピードって、砂漠地帯の魔物じゃなかったですか?」
「そうだよ。それに本来はそんなに大量発生するタイプの魔物でもないんだけど……」
依頼を出した村までの道は地面が干上がり、ひび割れた地面には枯草が引っかかっている。
「この辺りは草原地帯だけあって、それなりに雨が降るはずだ」
「川もすっかり干上がっていますわね。元はそれなりに広い川だったようですけど」
川沿いに歩いているはずが、空堀を見ているようなものだった。
空を見上げても雲はかすかに一筋あるばかりで、とても雨は期待できない。
「サンドセンティピードが大量発生する理由はなんとなくわかったよ」
アレンは水筒から少しだけ水を飲んで、川向こうを指差す。
そこにはすでにサンドセンティピードの姿が見えている。
足元は乾燥した地面が砂状になり、砂漠に近い状態になっているらしい。
「本来獲物の少ない砂漠にすむサンドセンティピードは、獲物が少ないから個体数も少ない。でもこの辺りはもともと草原地帯で獲物が多い。乾燥してサンドセンティピードに住みやすい環境と獲物が揃った結果、大量発生に繋がったんじゃないかと思う」
「数が多いとなると、少し厄介ですわね」
「とにかくまずは街に行こう。詳しい状況が分かるはずだ」
草原地帯の湖を囲むように出来た街は、景色の良さと居心地の良さから、観光地としても人気がある。
はずだった。
乾燥した空気の埃っぽさに肌がひりつく。
美しい湖面が名所のはずの湖は水が枯れかけ、濁った水が底のほうに溜まっている。
「酷い有様ですわね」
「これも魔王の影響だよ」
井戸を調べていたアレンは、苦々しげに言った。
「魔王が現れて魔物が活性化している。それに、あちこちで異常気象や地震や火山の噴火が起きたりしているんだ」
「その通りですな」
日よけの布を頭から被った中年の男が三人に軽く頭を下げる。
「ギルドの依頼で来て下さった冒険者の方々ですな? どうぞこちらへ」




