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槍使い、左遷される(2)

強くなれば、偉くなれば中から騎士団を変えられると信じていた。

腐敗した貴族連中と対立し、国王に上奏できるだけの力を得られれば。

幸いにしてローランには槍の才があった。

馬を駆り、その槍の一突きで魔物を屠るローランは市民からは英雄のごとく慕われ、同時に上からは酷く煙たがられるようになっていった。

部下も、砂の城が崩れるように、端々から"外"の影響を受けて、あっという間に愉しいほうへ転がり落ちていく。

気がつけばもう、今この部屋にいる数人だけがローランの信念と共にあるばかりである。

名目上は隊長として、三百を超える部下を率いているはずなのに。

ローランはふと新聞記事に目をやった。

碌なことが書いていない、王室へのおべっかばかりのくだらない新聞だが、片隅には時折他国の情報が載っている。

そこには、コルヴァッチ公国の偽聖女が追放され、新聖女が誕生したという内容が簡潔に書かれていた。

「そういや、本当は聖騎士になりたかったんだな」

ローランは幼い頃、聖女に救われたことがあった。

当時の聖女はだいぶ老齢だった。

コルヴァッチ公国の教会には聖女を守る聖騎士団がいると聞いたのが、騎士への憧れのきっかけだった。

ローランは勢いよく辞令を破り捨てた。

「隊長!?」

「俺は国を出る!」

その考えは、天啓のようにローランに降ってきた。

「お前たちも、家族がいるなら故郷へ帰れ。もし国を出るなら早い方がいいぞ」

使い慣れた愛槍と少しばかりの荷物。

連隊長の星が打たれた仰々しい兜は投げ捨てた。

「ここまでこの国のために頑張ってきたんだ。国が俺をいらないというなら、俺が俺のやりたい人生を選んでも文句はないだろう」

まっすぐにコルヴァッチ公国を目指すか、はたまた路銀を稼ぎながら旅路を楽しむか。

ローランは久方ぶりの高揚感を覚えていた。


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