元公爵令嬢、スキルを覚える(2)
平行線の報酬の譲り合いに、深く息を吐いて攻勢を収めたのはエヴァであった。
「わかりました」
アレンとサラが、ぱっと顔を輝かせた。
「報酬はわたくしが受け取りましょう」
「エヴァ! やっと分かってくれたんですね! やっぱりあなたが今回の――」
「そしてあなたがた二人の装備を新調しますわ」
「えっ」
長い脚を華麗に組み、エヴァは肩にかかった髪を後ろに払った。
「わたくしが受け取る報酬ですもの。使い道になにか意見がありまして?」
「でも、それじゃあ君が受け取ったことには――」
「アレン」
「はい」
エヴァは仰々しく頬に手をあてて首を傾けた。
「このパーティーの軍資金は元はわたくしの持ち物、そうですわね?」
「そ、そう、だね」
「そしてあなたは資金を管理してくれている。そうですわね?」
「まあ、結果的に……?」
さらにエヴァは畳みかける。
「今もってあなたはわたくしから資金管理の報酬を受け取っていない。今の装備も資材やダンジョンアイテムの売却で得たお金で用意していますわ」
「それは、君のお金は出来るだけ減らしたくないし……」
「となれば、わたくしのお金であなたの装備を新調することは、結果的にあなたに報酬を支払えることになりますわね」
そうかもしれないが、頷きがたく、アレンは黙り込んだ。
「サラ。わたくしたちのパーティーが存続していくためにはあなたの料理が不可欠。そうですわね?」
「えっそうですか?」
「そうですわよ」
サラのつくる料理はサンドイッチひとつ取っても回復効果があり、なにより美味しい。
「であるならば、あなたが万全の状態であることがパーティーを存続させる。そうなりますわね」
「え……え?」
そんな気もしてくるが、そうだろうか。




