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聖女を追い出した国(1)

代々聖女を擁する国、モンテスパン皇国は、聖女の結界で護られていて魔物の被害が少ないことで近隣諸国に知られている。

天候も安定して大きく崩れることが少ない。

崩れたとしても、聖女の癒しの力があれば復興にさして時間もかからない。

怪我人が出ても教会に行けば治してもらえるから、兵士も怪我を恐れずに魔物と戦うことが出来る。

大がかりな魔物討伐では聖女を現地に連れて行くこともザラだった。


今では全ては過去形である。

偽聖女を糾弾して追放した直後までは良かった。

新聖女ユリアはその美しく清らかな姿で民からもあれぞ聖女と崇められ、婚約者のフランソワとも仲睦まじく、国の行く末は安泰に思われた。

ことは、国土の端々で魔物の出現が頻発したことに端を発する。

討伐そのものは難なく終わったものの、数人の怪我人が出たので教会に運びこまれた。

聖女によって怪我人は癒されたが、翌日聖女は、市民の前に現れなかった。

前日の治癒で疲労したので出席することが出来ないという。

癒しを受けるために順番を待っていた市民は落胆した。

一度目は仕方がないと引き下がっても、それが二度三度となれば話は変わってくる。

四度目には、怪我や病気の治癒を求めて訪れた市民が口々に文句を言った。

「聖女を出せ! 民を癒すのが聖女の仕事だろう!」

「これまでお布施だってしてきたんだ! 治してもらう権利がある!」

これまでは前日に誰を癒そうが何人癒そうが、必ず聖女は表に出てきて列を成す市民を最後まで癒し続けたのだ。

教会の門前に集まった市民の声は、教会の奥に設えられたユリアの部屋にも届いた。

サラがあてがわれていた部屋とは全く違う、日当たりの良い南側に面した、高い塔にユリアの部屋がある。

金房のついた象牙色のカーテンを閉めて、ユリアはため息をついた。

「いやになっちゃうわ。治せ治せって」

ユリアも聖属性魔法の素養を持っていた。

ただ、それが聖女に認定されるほどではなかっただけで。

私生活が忙しくなったため今回から1週間ごと更新に変更します。

待っていて下さる方がいるかどうか分かりませんが……。

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