レベリングは進むよどこまでも
一番他の冒険者とバッティングしやすいダンジョンという空間に慣れるべく、エクシリア―ド・リブレはそのあともう二周ダンジョンを踏破して、希少素材を山ほど提供して別の街へ出発した。
アレンは勇者パーティーに所属していたのでそれなりにレベルは高かったが、今はエヴァも追いつきつつある。
炎属性の魔法に適正があるのかと思っていたエヴァだが、レベル50を超えたところで氷魔法も使えるようになった。
剣術もさらに冴え、街から街への移動中には、群れをつくっていた危険なロックバードを手際よく狩った。
剣に炎を纏わせたかと思えば返す刃に氷魔法を乗せ、アレンから借りた魔力で上乗せした威力を十分に活用している。
適当に大技ばかり放つのではない。
小回りの利く足の速さを生かし、時に鋭く、時に長く、魔物の数と距離をよく見て使い分けている。
その早さとセンスは勇者パーティーを見てきたアレンですら舌を巻いた。
つい先日まで身の回りのこと全てを世話されていた貴族の令嬢とはとても思えない。
彼女が国を追われた経緯はさておいても、剣士や魔法の才能があったことは間違いない。
サラはレベルに関してはエヴァに一歩遅れているが、その代わりにスキルが増えていた。
「ええっと、これがブルーベル、こっちはシビレタケ……」
ひょいひょいと草やきのこを採って仕分けしてくので、アレンは何の気なく訊ねた。
「植物に詳しいの?」
「いいえ。でも、最近読めるようになったので」
「よめ、えっ?」
読むと言われてもアレンにもエヴァにも何も見えない。
「もしかして……鑑定スキル?」
魔法が使える者であれば、自分のレベルや能力は自分で見ることが出来る。
魔法が使えなくても教会などで調べることは出来るが、それも基本的には他人に話すことはない。
本来見られない他人や物のステータスまで見ることが出来るのは、鑑定用のアイテムか特殊スキル【鑑定】を持つ者だけだ。
冒険者の中にいれば時折鑑定スキルを持つ相手に出会うこともあるが、人口全体で見れば稀なスキルである。
さらに、狩りまくったロックバードがエヴァのアイテムボックスに入らないとなったときに、新事実が発覚した。
「サラはアイテムボックスを持っていませんの?」
「そういえば使ったことがなかったので分からないです。アイテムボックスって言えば開けるものですか?」
言った端からアイテムボックスに繋がったので、ひとまずロックバードを入れてみた。
一羽ずつが馬と同じくらい大きいロックバード27羽が全部収まってしまって、さすがに三人で呆然とした。
聖属性魔法に鑑定スキル、容量不明のアイテムボックス、さらに幸運まで併せ持つとなると、サラを追い出した国の損失はいかばかりか、アレンは考えるのをやめた。
エヴァとサラに魔力を譲渡しているとアレンのレベルまで便乗して上がっていく。
レベルが上がるほどに、次レベルに上がるまでの速度が緩やかになるはずだが、勇者パーティーに居たときよりもレベルが上がるのが早くなっている気がしていた。




