パーティー名を決める(2)
サラの結界はほんのりと金色の光を帯びている。
「あら、ではまだ行ったことはありませんけれど、お話に聞いたダンジョンでも、とても便利なのではなくて?」
「可能性はあるね。色々試してみる必要はあるだろうけど」
ダンジョン内にも特殊な安全地帯はあるが、そこへ辿り着けなかった場合が一番恐ろしい。
そうした場合に備えておくのもダンジョンに入る心得のひとつだが、それが解消される可能性があるとしたら大いに役立つ。
「ダンジョンへ入るチャンスがあれば試してみよう。それで思い出したんだけど」
「なんですの?」
「パーティー名を決めるのは、どうかな」
アイテムボックスから食材や調理器具を取り出していたエヴァと、それを受け取っていたサラの手が止まる。
「そういえば決めていませんでしたわ」
「今のままだと元貴族と元勇者パーティーメンバーと元聖女のパーティとしか言いようがない」
「さすがに呼びにくいですよね」
「そういうわけだ。食事をしながらちょっと考えてみてほしい」
魔力が戻ったことを自覚したサラの料理は絶好調だった。
意識して魔力を流しながら調理をしたら、金色の光が散った香草焼きが出来上がった。
「うーん、これは凄い」
「回復どころか今戦ったらなんでも倒せそうな気がしますわ」
「神話にもそんな神様がいなかったかな。もらった食べ物を食べた勇者が悪魔を倒したとかそういう」
香草焼きを美味しく頂きながら、エヴァが閃いた。
「エクシリア―ド・リブレ」
「え?」
「エクシリア―ド・リブレなんて良いのではなくて? パーティーの名前に」
それは神話に登場する、あまり有名ではない女神である。
与えられた仕事をさぼり、放蕩が過ぎて天界を追放された女神は、追放されたあとも地上で人間にちょっかいを出したり、他の神にいたずらをしたり、世界を放浪する、自由奔放な女神である。
「たしかに、目的があるわけでもない僕たちにはぴったりかもしれない」
「素敵です。いい名前だと思います」
断罪された公爵令嬢と勇者パーティーを追放されたお荷物と偽聖女の汚名を着せられた元聖女の三人組パーティーの、いずれ世界に轟くことになる名前は、こうして決まった。




