パーティー名を決める(1)
「全部倒しましたわよ」
エヴァに声を掛けられて、サラは結界を解いた。
「やれば出来るではありませんの」
「もう必死で、なにがなんだか」
腰が抜けてしまったサラを助け起こしながら、エヴァはアレンを見下ろす。
「そちらも大丈夫そうですわね」
「おかげさまで」
起き上がったアレンも自分の状態を確認して苦笑した。
「助けるつもりが、すっかり助けられちゃったよ」
「どこも痛くないですか? 治癒魔法も久しぶりで、加減がわからなくて」
「怪我どころか疲れまで全部治してもらったよ。ありがとう、サラ」
「本当に。サラが結界を張ってくれていたから、わたくし後ろを気にせず戦えましたわ」
サラはぱっと頬を染めた。
「そんな。このくらい、前は当たり前で……」
「当たり前だったらお礼も言わなくていいなんてことにはならないよ」
これが前のパーティーなら、怪我をしたところで放っておかれただろうし、少ない給料で手に入れた低級ポーションで急場をしのぐか、仲間に懇願して上級ポーションを売ってもらわなくてはいけなかっただろう。
「どの程度力が戻ったのかわかりませんし、次の街に着くまでにリハビリを兼ねて使う練習をしておいたほうがよろしいのではなくて?」
「そう、ですね。これっきりだったら意味がないです」
「無理はしないようにね。魔力が切れそうになったら僕が【魔力譲渡】するから、少しずつ様子を見て使ってみよう」
次に試してみたのは野営地での結界だった。
いままでは出来るだけ魔物の少ない場所を選び、周囲に鳴子を吊るして休んでいた。
結界を張ることが出来れば、安心して眠ることが出来るようになる。
「では、いきます」
紙の中心に適当な石を乗せ、サラが魔力を流す。
「範囲結界」
魔法陣を中心に、直径6mほどの光の半球体が三人を包んだ。
「これが結界ですの?」
「はい。前に使っていた魔法通りなら、外から結界以上の力で攻撃されるか、この石を動かすまでは起動し続けます」
魔力を流し続ける通常の結界は、大きさを都度サラの意思で変化させられるが、その分魔力を消費し続ける。
起点を決めて、特定範囲内だけを囲う範囲結界は、大きさを変えることは出来ないが、その分一度魔力を流してしまえば長時間結界を張ったままにしておけるのが便利だった。
「やあ、これは凄いよ」
内側から結界を眺めていたアレンが感嘆の声を上げる。
「普通の魔法使いの結界は今説明した通りの結界なんだけど、これ、聖属性の魔力が含まれているから、そこらの魔物じゃ近寄れないんじゃないかな」




