パーティー、三人組になる(1)
「……そういうわけで、罪人として国境まで護送されたんですが、国境を越えた街道で馬車からおろされてしまい」
何もない街道に身一つで下ろされたサラは、さすがに困惑した。
どこへ行くあてもなければ、食べ物や飲み物さえ持っていない。
「幸い、平坦な道でしたし、遠くにこの街が見えていたので歩くことにしたのですが……」
見えていても少女の足ではかなりの道のりだった。
運良く途中に川も流れていたので、喉を潤しつつ、魔物と遭遇することもなく歩いて来られたが、あと少しで街というところでグレイウルフに襲われ、そこを二人に助けられたのだと話し終わる頃に、サラのお腹がきゅうっと鳴った。
「すみません、二日ほどほとんど何も食べていなくて……」
「ポーションじゃあお腹はいっぱいにならないよね。何か食べに行こう」
「そうですわね。ギルドに依頼達成の報告もしなくてはいけませんし」
***
三人はギルドで報酬を受け取ると、手頃な酒場に移動して、いくつか料理を注文した。
アレンは器にたっぷりよそわれた熱々の豆のトマト煮込みを、最初にサラの前に置いた。
「とりあえず、君からどうぞ。お腹が空いているんだろう」
「でも、私、なにもお返しできるものを持っていなくて……」
「その心配には及びませんわ」
ほほほと笑ったエヴァはわざとらしく受け取ったばかりの報酬を見せた。
「あなたのおかげで討伐出来たグレイウルフが良い収入になりましたの。その豆の煮込みをあなたが10杯食べたとしてもお釣りが来ますわ」
「そういうこと。だから遠慮しないで」
湯気の立つ赤いスープからは、ハーブの良い匂いが漂っている。
「い、いただきますっ」
聖女をしていた頃の食事といえば、ほとんど冷めているスープと硬いパンばかりだった。
熱い煮込みなど何年振りに食べたかわからない。
柔らかく煮こまれた豆とトマトは甘く、ハーブの爽やかな薫りが鼻に抜ける。
腹の中から温まっていく感覚に、サラは体を震わせた。
「美味しい!」
ニンニクで焼いたパンや魚の香草焼きも美味しい美味しいと喜ぶサラに気を良くしたのか、酒場の主人もこんがり焼けたソーセージをおまけしてくれたので、三人はすっかり満腹になって宿に戻った。




