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二人組パーティー、聖女を拾う(1)

ギルドでパーティー登録をした二人は、簡単な依頼として街の外に出る低級魔物討伐を選んだ。

人間が暮らす街の近くで出る低レベルの魔物は、一般人にはやっかいな相手でも、装備を整えた冒険者にとっては苦も無く倒せるちょっとした害獣退治のようなものだ。

魔物を倒してレベルを上げつつ報酬も入るので、新人冒険者には定番の依頼であった。

アレンは同時に薬草採集を引き受けた。

どうせ郊外に出るのであれば、行ったり来たりするよりも手っ取り早いのである。

「わたくし、薬草の見分けに関しては全く役に立ちませんので、お任せしますわ」

きっぱりと言い切ったエヴァは、アレンから簡単に冒険者としての基本を学びつつ、時折襲ってくる小型の魔物を揃えたばかりの剣で切り払っていく。

「魔物を討伐したら、証拠として指定された部位を切り取ってギルドに持っていくんだ。魔物から採れる素材は倒した冒険者に権利があるから、その場で解体出来る人もいるし、出来なければ持って帰ってギルドで解体をお願いすることも出来るよ。そのミニエビルピッグは肉も食べられるし、時々魔石が出るから、初心者冒険者にはもってこいの獲物なんだ」

「持って帰る? これをですの?」

ひとかかえ程の大きさの豚型の魔物は、すでに三匹、エヴァの足元に転がっている。

一匹ならまだしも、三匹は二人では運びきれない。

「そういう時はアイテムボックスを使うんだ。君も持っているよね。アイテムボックス内は時間が停止しているから、腐る心配もない」

「なるほど。それなら運べますわね。あら、でも、アイテムボックスに入りきらない大きさの魔物を倒した場合はどうしますの?」

「それは追々説明するよ」

アレンは採集した薬草を背負った籠に丁寧に積んでいく。

元々の荷物に加えて次第に中身の増える籠を重そうに持ち上げるアレンに、エヴァは当然の疑問を抱いた。

「あなたはアイテムボックスが無いと言ってしましたわね。あなたの荷物、わたくしのボックスに一緒に入れれば良いのではなくて?」

「え?」

アレンは思ってもみなかったことを言われて、目を見開いた。

「わたくしのアイテムボックスも無限ではありませんけれど、あなたの荷物くらいは入りますわ」

言ってから、エヴァは、あらと口元を押さえた。

「もしかして、冒険者はアイテムボックスを共有しないルールなどありまして? でしたら知らなかったとはいえ、失礼なことを言ってしまったかしら」

アレンにはアイテムボックスがない。

あの勇者パーティーに入れてもらう条件の一つは、自分の荷物は自分で運ぶことだった。

これまで誰も、アレンにそうしたことを言ってくれた人はいなかった。

「アイテムボックスの共有は、パーティー内ではよくあることだよ……。たとえばさっきの、大型の魔物を討伐した場合、切り分けて血止め処理をして、みんなでそれぞれのボックスに入れたり……」

大型魔物の角一本すら、もたもた運んでいたアレンを、仲間たちはただ笑ってみているだけだった。

「ならわたくしとあなたはパーティーの仲間ですし、問題ありませんわね」

エヴァがアイテムボックスを開いてアレンに荷物を入れるように促しても、アレンはなかなか動こうとしない。

「……アレン」

エヴァは焦れて、肩にかかる髪を指先でもてあそぶ。

「たとえば……わたくしのような者が突然冒険者になろうとして、あなたのようにしてくれる人がどれほどいるかしら? あなたと出会えたことといい、タイミングといい、運命的だとすら思っていますわ。あなたがわたくしに冒険者としての知識を与えることに対価を求めないのでしたら、アイテムボックスの共有くらい要求しても、問題はないと思いませんこと?」

だいぶ遠回しではあるが、エヴァなりに礼をしたい気持ちはアレンにも理解出来た。

「ありがとう。なら、君の厚意に甘えさせてもらうよ」

アレンが荷物をエヴァのアイテムボックスに入れようとしたその時、遠くから少女の悲鳴が響いた。

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