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  作者: 櫻美
10/32

その十

次の日の朝、いつも三人で学校に向かうが

どうしても昨日の光景を思い出すので

適当に理由をつけて別々で行く事にした。

二人の関係が私が知らないところで

随分と深まっていたんだなと思ったのと

ずっと一緒に過ごしているにも関わらず

気づかない自分もどうかと思った。

学校から帰る時も二人にはわざと声をかけず

一人駅に向かっていた所、改札に入る前に

聡太が追いかけてきて結局一緒に帰る事になった。

明美の姿はなかった。


「昨日どうだった?佳代の奴」

「実は何も聞き出せてないんだよ。」

「なーんだ、それじゃ本当に勉強みてやっただけ?」

「うん、今日こそは何とか話してみるよ」

「あれ?今日も?」 「聞いてないのかよ?」


どうやら今日も私と約束している事を

聡太は知らない様だった。だが、そこまで

気にしている様子も見せなかった。

気にしているのは寧ろ私の方だった。

二人が付き合おうが何をしようが

そんな事は何でもよかったが、ただ、

私に何も言ってこない二人に少し気分が悪かった。

幼馴染だとしてもどんなに長い日々を共にしても

互いに全てを曝け出せる程の関係に

私達はなれなかったのかと思うと少し寂しかった。

佳代との約束があるので自分の家を通り過ぎて

聡太と家に向かった。家に上がると佳代は

既に帰っており、部屋で私のことを待っていた。

三人で暫く話をしていたが聡太が出て行ったので

二人になった所で漸く勉強を始めた。

今日こそはと、勉強を教えている途中で

そればかり考えていた。

一時間程真面目に取り組んでいたが

佳代の方から口を聞き始めた。


「少し、休憩していい?喉乾いちゃった。」

「うん、そうしよう。」

「飲み物淹れてくるから待ってて」


それだけ言うと一階まで降りて行った。

佳代が用意してくれたお茶を飲みながら

それとなく話を切り出してみたが

やっぱり聡太が心配する様な事はなくて

寧ろ充実している様だった。


「どうしてそんな事聞くの?」

「別に、大した意味なんてないよ」

「どうせお兄ちゃんでしょ?あたり?」

「まぁ、そんな所かな」

「だと思った。」


この会話がきっかけで佳代は

思い出したかの様に兄に対する不満を言い始めた。

不満や愚痴ばかりを口にしていたが

兄弟が居ない私にとっては羨ましく思えた。

そこからすっかり話し込んで

勉強の事なんてもう、二人の頭になかった。


「今何時?」「六時過ぎね、どうかしたの?」


それを聞いて立ち上がる私をみて

「もう、帰っちゃうの?」と

残念そうにぽつりと口にする。

咄嗟に「また、来るよ」と答えて一階まで降りて

玄関に辿り着いてから聡太の靴が

無い事に気がついた。靴を履きながら佳代に


「聡太はまだ帰って無いみたいだな」

「そう言えば最近夕飯の時間にも

居ない事よくあるの」


外に出てそのまま帰ろうかと思ったが

佳代は何か知っているんじゃないかと思い

聡太の事について探る様にあれこれ聞いてみたが

何も知らないみたいだった。

それから少しだけ話しして自分の家を目指した。

公園の近くまで来ると何だかどきりとして

違う道を通ろうかと立ち止まっていると

公園から手を繋いだ二人が歩いてくるのを見つけ

慌てて違う道まで走って隠れた。

二人と会わない様に何とか家まで辿り着き

そして、心はもやもやとするばかりだった。


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