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【完結】モノクロの僕と、色づく夏休み  作者: カムナ リオ
第一章
5/20

第5話「家出少年?」

 もしオレが、このままあいつを放っておいて、遭難でもされたら……

 

 途端にゾワッと鳥肌が立つ。凄まじい寒気。

 

 大変な騒ぎになるだろう。さすがのオレでも、そのくらいは簡単に想像がつく。


 とりあえず無理やりにでも下山させて、駐在所のお巡りさんにでも預ければ、オレの気も済む。


 オレは慌てて、デカリュック少年の後を追いかけた。


***


「おい! 待てよ!!」

「うるさいなー! 何なの、あんた?」

「その年で家出して、どうやって生活して行く気だよ!」

「どーだっていいだろ、あんたに関係ないじゃん!」


 やっぱり、家出少年決定か?


「関係ないけど、こんなところで遭難して死なれでもしたら、オレの寝覚めが悪いんだよ!」

「知るかよ、そんなの! お前、キモいんだけど、ストーカーかよ⁉︎」




 キモ……


 ストーカーって……



 キモいはまだしも、ストーカーだなんて、生まれて初めて言われた言葉だ。


 心外だ。オレはその言葉にショックを受けて、しばらく動けなかった。もしかしたら、呼吸も止まってたかもしれない。


 オレがショックを受けている間に、デカリュック少年は、スタスタと先を歩いて行ってしまう。


 オレはそれをただ、黙って見つめることしか出来なかった。


***


 オレはその場から帰ることも、進むことも出来ずに、しばらく立ち尽くしていた。腕に蚊が舞ってイラッと腕を強めに叩いた時、時間が動き出した。


 痒い……


 だから田舎は、山は嫌なんだ……。


 今から山道を降りれば、次のバスには間に合う。もう帰ろう。あんなガキ知るかよ! 勝手に遭難でも、なんでもすればいいんだ!


 そう思っているのに、足が動かない。


(……)


 何、やってるんだろう?


 悔しいような、泣きたくなる気持ちが心に渦巻くのに、あの少年のことが頭から離れない。名前も知らないやつなのに。



 オレはハアッと深呼吸した。


 いつもの自分なら、考えられなかった。積極性とは真逆な性格なのだ。面倒ごとは、出来れば回避したいと思って生きていた。なのに――


「ああ、もう!」


 オレは少年の歩いて行った方に、走り出していた。



つづく

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