表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界恋愛 短編

「婚約破棄したい」「それな」

作者: 長岡更紗

 


「婚約破棄したい」

「それな」


 私の呟きに、この国の第一王子であり婚約者のダミアンが完全同意した。


「ダミアンとキスなんてできない」

「それな」

「子作りとか死ねる」

「それな」


 私たちはハッとして、お互いの顔を見やる。


「コレット」

「ダミアン」


 こくんと頷いた私たちは、ガチッと手を握り合ってニヤリと笑ったのだった。





 ***





「というわけで、コレット・エミルフォーク公爵令嬢! 君とは婚約破棄だ!」

「ええ、承りましてよ!」

「こらこら、待て待て待てぇぇええい!!」


 私たちの大立ち回りに、国王が慌てて割って入ってくる。


「何が〝というわけで〟じゃ! おぬしら、社交の場でいきなり何をぬかしとるか! 気でも狂ったか!」

「人前で婚約破棄すれば、結婚せずに済むかと思って」

「ねー」

「ねー」

「ねーじゃねーわ! 済むか!」

「済まないのか?!」

「済まねーわ!」


 陛下のツッコミが冴え渡る。

 あー、やっぱだめよねぇ。なんとなくそんな気はしていたけど!


「一体お互いの何が不満なんじゃ、言うてみぃ」


 陛下ってまだ四十ちょいの割には、おじいちゃんみたいな喋り方するのよね。

 威厳を保つために、わざとやっているんだっけ。


「コレットに不満? 不満ねぇ……ない!」

「ないのに婚約破棄!? バカなの、わしの息子?!」

「まぁまぁ陛下、そう怒らずに」

「コレット、おぬしもわしを怒らせている要因のひとつじゃからな!?」

「えー、心外〜」

「いや、気づけ?!」


 頭の血管が浮いているけれど、切れちゃわないかしら? 国王様って大変よね。


「とにかく、どうして婚約破棄をしたいのか、まずは理由じゃ。コレットはダミアンの何が不満なのじゃ」

「ダミアンの? んー、強いて言うなら……す、好きって言ってくれないところ……」

「ん? 今なんと言った? ボソボソせんとはっきり言わんか」

「もう、陛下ったらわかってるくせにぃっ!」

「いやわからんわ!! ぐほっ! こら、叩くでない!!」


 ああ、めっちゃくちゃ勇気出して言ったのに、どうしてわかってくれないの!


「コレット……俺、好きって言ってよかったのか……?」


 やだっ、ダミアンの方に聞こえちゃってた?!

 ああ、恥ずかしい……!

 ダミアンは潤んだ瞳でこっちを見ていて、私は勇気を出して言葉を振り絞る。


「だってダミアンったら、一緒にいてもいつも笑い話ばかりで」

「それな」

「好きって言ってくれたら、関係も進むはずなのに」

「それな!」


 ああ、胸がどくんどくん鳴ってる。

 言って……くれるの? ダミアンは、本当に私のことが好きだったの?

 私、いつも、不安で……。


「コレット……す、す、好きだ!!」


 言った!!


「でも!!」


 逆接!!


「俺はコレットと婚約破棄したい」

「それな!」

「いや待て、コレットまで同意するな! 何でそうなるんじゃああああ!!」


 陛下ったら、すぐぶちキレるんだから。目の玉が半分飛び出しちゃってるわ。


「だって陛下……! 私、ダミアンとキスなんてできない!」

「それな!」

「何でじゃ! 好きなんじゃろう?!」

「好き過ぎてできない!」

「それな!」

「いや、意味がわからんのだが?!」

「陛下は不純の塊ですから!」

「それな!」

「ひい! とんだとばっちり!!!!」


 ふらふらとした陛下は、それでも一瞬にして切り替えて、キリッとした目を私たちに向けた。


「わかった」

「わかってくれましたか?! じゃあ私とダミアンは晴れて婚約破棄を……」

「おぬしら、今ここでキスせい」

「それな! ……え!?」


 思わず同意したダミアンが、目をおっ広げて陛下を見た。


「父上と?」

「んなわけあるか! ダミアン、お前とコレットでじゃ!」


 それな! とは言えません!!

 だって、ここは社交パーティーの会場。全員、私たちに大注目しているというのに!!

 どうしてみんな、私たちを見ているの?? ちゃんと交流を図ってくださいな!


「父上、それはさすがに……!」

「そうです、陛下! こんなところで……」

「キスせよ。これ、国王命令」

「横暴だわ……!」

「それな……!」


 ああ、なんてこと……

 でも国王命令じゃ逆らえない。


「ダミアン……」

「コレット……」


 ダミアンが私をじっと見ている。

 まさか……本当にするつもりなの?


 私、本当は憧れていた。

 恋人同士がするキスに。

 ダミアンとキスすることを考えると、私の胸はいつも破裂しそうになる。


 ダミアンは、いつも優しかった。

 王妃教育を受けて疲れている私を、笑わせては和ませてくれた。

 風邪をひいた時には、うつることも気にせず毎日お見舞いに来てくれた。そのあと、あなたが風邪をひいて私がお見舞いに行ったけれど。

 ダミアンのくだらないギャグでずっこけて怪我をしてしまった時には、この世の終わりみたいな顔をして私を抱き上げ、医者のところまで運んでくれた。

 私たちは、たくさんたくさん一緒に過ごしたわ。

 あなたの寝顔も知っているし、鼻をピクピクさせて目を開けたまま眠るあなたを、本当に愛おしく思ってるの。


 そしてダミアンは、私の母が亡くなった時にはこう言ってくれた。


『コレットの心が癒えるまで、ずっとそばにいる。君の母上がそうしていたように、俺はずっと君を見守るよ』


 涙が止まらない私に、背中をさすりながらそう言ってくれたダミアン。

 私が、どれだけ、どれだけ嬉しかったか知らないでしょう……?

 母を亡くした悲しみから立ち直れたのは、あなたが根気よく私に寄り添ってくれたから。

 花が綺麗だと言っては花園に連れ出してくれて、湖畔が綺麗だと言っては外に連れ出してくれた。

 朝日を浴びれば前向きになれるからと、わざわざ海まで行って見せてくれたわね。


『コレット、君は素晴らしい女性だよ。どんな困難にも打ち勝てる強さを持っているんだ』


 そう言って、私を過大評価してくれたけど……心から思っていることが伝わってきて、私は嬉しかった。


 ……大好きだったの、ダミアンのこと。


 恥ずかしくて、ずっと言えなかったけど……。


 そして、怖かったの。

 私たちは所詮、利害で結ばれただけの婚約者同士。

 嫌われていないのはわかってる。でも好きかと聞かれたら、きっとそうじゃない。

 婚約者を大切に扱うのは、王族の義務だから。あれもこれも、好きという気持ちからじゃないと思うと、悲しみが止まらなくて。

 一言も好きだと言われたことがなかったから、私はどんどん臆病になった。

 性教育をダミアンと一緒に受けて、キスや子作りの仕方を学んでも、いろんな意味で無理だった。


 だって、好かれていないと思ってたから。

 私だけがダミアンを好きすぎて、キスなんかしたら心臓麻痺で死んじゃうって思ったから!

 子作りなんてホント、恥ずかしすぎて一瞬で死ねるから!!

 だからもう、婚約破棄するしかなかったのよ!!


 でも、ダミアンは私のことを好きと言ってくれた。

 そして今、目の前のダミアンが少しずつ私に迫っている。


 ああ、とうとう私……キス、しちゃうんだわ……!


「コレット……」

「ダミアン……」


 ダミアンの唇がどんどん私に近づいて……


「きゃーーーー、無理ぃいいい!!」

「それなーー!!」

「何でじゃぁぁあああ!!」


 三人分の絶叫が会場に響いた。

 危ない、今のは危なかったわ!! 私、心臓が破裂して死ぬところよ!!


「うう、やっぱりキスもできない私たちに、世継ぎを求められても無理……! 婚約破棄するしかないんだわ……!」

「それな……!」

「キスくらいさっさとすればええだろうが!!」

「陛下、不純!」

「それな!」

「うっせーわ!」


 ああ……このままではいけない。

 この国の王子は、ダミアン一人しかいないの。

 なぜならば、王妃様はダミアンを産んだ予後が悪くて亡くなっている。そのあと陛下は、新たに王妃を迎えることも、愛妾を持つこともしなかったから。

 ダミアンは、絶対に子どもを残さなければいけない立場。でも私が相手だと……それができない……!


「いやもう、おぬしらええから結婚してしまえ」

「そんな、無理です陛下!!」

「父上は、我が家系が途絶えてもかまわないと?!」

「いや、それは困るが……」


 陛下はうーんと考えたあと、閃いたというようにニヤリと笑った。


「ではコレット、わしの妃となれ」

「……え?!」

「父上……?!」


 私が……陛下の妃に……


「いやよ、こんなクソジジイ!!」

「それな!!」

「おぬしら、覚えとれよ?」


 陛下はクソジジイらしく、下卑た笑みで私の肢体をねぶるように見ている。


「これでも四十二歳、まだまだ現役じゃからなぁ……ダミアンに子ができんならば、わしが直々に子作りするしかあるまいて」

「い、いや……!」

「これ、国王命令。コレットとわし、結婚」

「……!!」

「コレット…………!」


 ああ、そんな……

 ダミアンとの婚約破棄後は、誰の元にも行かないって決めていたのに……

 国王命令じゃ、逆らえない……!


「うう、こんな腐れ外道と結婚なんて!!」

「コレット!」

「今、国王を腐れ外道と言ったか?」

「父上! 加齢臭のオッサンがこんな可愛いコレットと結婚したいだなんて、あんたは虫ケラ以下のクズ男だ!!」

「いい加減、泣くぞわし」

「ダミアン、あなたのお父様に嫁いでしまう私を許して……!」

「コレット、君が悪いんじゃない……そうだ、もうあんな父上は殺してしまおうそうしよう」

「待て待て待て待てい!」


 私のために、陛下の抹殺まで考えてくれるだなんて……!

 もう、ダミアン……好き。


「ではおぬしらに、選択肢を与えてやろう! わしとの結婚か、ダミアンとの結婚、どちらの国王命令がよいのじゃ!!」

「ダミアンよ!」

「即答! わかっとったわい!」


 なぜか疲れている陛下をよそに、私たちは見つめ合う。

 やっぱりダミアンの瞳はきれいで、他の誰よりも優しい。


「コレット……やっぱり俺は、君を誰にも渡したくはない。そして君以外の誰も迎えたくはないんだ」

「ダミアン……」

「キスひとつできない不甲斐ない俺だが……コレットのことを誰より愛しているのは、この俺だ」


 愛、している……。

 その言葉を聞いた途端、私の胸の中は大きく膨らんでいく。


「俺のくだらないギャグに全力で笑ってくれて、時にはずっこけてくれる君が好きだ。一生コレットを笑わせていたい。怪我や病気をしたら寄り添っていたい。こんなにも優しく、広く深い心を持った人が俺の婚約者であることが、どれだけ誇らしく嬉しかったか、君は知らないだろう?」


 ダミアンの真剣な瞳に、吸い込まれてしまいそう。


「君の母上が亡くなった時、俺は誓ったな。ずっとそばにいると。君を見守ると。──その時から、ずっと言えなかったことがある」

「なんです……?」

「君を、一生愛していく……コレットには言えなかったが、俺は君の母上とそう約束していたんだ……!」

「ダミアン……!」


 もうダメ……我慢していた涙が、勝手にするすると落ちていってしまう。


「今まで不安にさせてすまなかった……! 怖かったんだ……一方的な俺の想いを押し付けるようで……コレットに嫌われてしまったらどうしようと……! だから、婚約破棄を言い出されたときも、反対できなかった……君がそれを望んでいるならと……」


 まさか……ダミアンも私と同じだったの……? 怖くて、言い出せなかっただけ……?


「ダミアン……私もちゃんと言えばよかった……あなたを、誰よりも愛していると……!」

「コレット……!」

「ごめんなさい、もう二度と婚約破棄したいだなんて言わないわ! どうか、一生私をそばにおいてほしいの」

「当たり前だろ……! 俺だって二度と、婚約破棄を承諾したりなんてするもんか……!!」

「ダミアン!!」


 ダミアンが私を包んでくれる。今まで手を繋ぐくらいが関の山だったというのに……。

 私の想いがダミアンに伝わり、ダミアンの想いが私に入ってくるのがわかる。

 これが……しあわせ、ということなのかもしれない。


「なんじゃこの茶番は」


 陛下の言葉に、招待客の『それな!』という心の声が聞こえた気がしたけど、気にしないわ。今はこの、愛しい人の腕の中に包まれていたい。


「おぬしら、もう今すぐ結婚せい。これ、国王命令」

「今すぐ結婚?! 嬉しい!」

「それな!」

「うるさいわ」


 そう言っている陛下も、なんだか嬉しそうで。


「お集まりの皆々様よ、これよりこの社交パーティーは、我が息子ダミアンと公爵令嬢コレットとの、婚姻のパーティーと相成った!」


 ずっと私たちをサーカスの猿のように見ていた出席者たちから、わぁああと大きな歓声が上がった。

 音の振動を感じるだけで、なぜか気持ちが昂ぶってくる。


「どうしよう、ダミアン……」

「どうした、コレット」

「今なら私、あなたとキスできちゃいそうよ!」

「それな!」


 ダミアンの瞳が優しく微笑む。

 私も、自然と頬が上がっていく。


「大好き、ダミアン」

「それな」


 私たちはフフッと微笑むと、お互いに唇を乗せ合った。


 陛下の「やれやれ」という声と、母と王妃様の〝おめでとう〟という声が、聞こえた気がした。







挿絵(By みてみん)

イラスト/柴野いずみ様

お読みくださりありがとうございました。


★★★★★評価を本当にありがとうございます♪



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。
サビーナ

▼ 代表作 ▼


異世界恋愛 日間3位作品


若破棄
イラスト/志茂塚 ゆりさん

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
この国の王が結婚した、その時には……
侯爵令嬢のユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
政略ではあったが、二人はお互いを愛しみあって成長する。
しかし、ユリアーナの父親が謎の死を遂げ、横領の罪を着せられてしまった。
犯罪者の娘にされたユリアーナ。
王族に犯罪者の身内を迎え入れるわけにはいかず、ディートフリートは婚約破棄せねばならなくなったのだった。

王都を追放されたユリアーナは、『待っていてほしい』というディートフリートの言葉を胸に、国境沿いで働き続けるのだった。

キーワード: 身分差 婚約破棄 ラブラブ 全方位ハッピーエンド 純愛 一途 切ない 王子 長岡4月放出検索タグ ワケアリ不惑女の新恋 長岡更紗おすすめ作品


日間総合短編1位作品
▼ざまぁされた王子は反省します!▼

ポンコツ王子
イラスト/遥彼方さん
ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。
真実の愛だなんて、よく軽々しく言えたもんだ
エレシアに「真実の愛を見つけた」と、婚約破棄を言い渡した第一王子のクラッティ。
しかし父王の怒りを買ったクラッティは、紛争の前線へと平騎士として送り出され、愛したはずの女性にも逃げられてしまう。
戦場で元婚約者のエレシアに似た女性と知り合い、今までの自分の行いを後悔していくクラッティだが……
果たして彼は、本当の真実の愛を見つけることができるのか。
キーワード: R15 王子 聖女 騎士 ざまぁ/ざまあ 愛/友情/成長 婚約破棄 男主人公 真実の愛 ざまぁされた側 シリアス/反省 笑いあり涙あり ポンコツ王子 長岡お気に入り作品
この作品を読む


▼運命に抗え!▼

巻き戻り聖女
イラスト/堺むてっぽうさん
ロゴ/貴様 二太郎さん
巻き戻り聖女 〜命を削るタイムリープは誰がため〜
私だけ生き残っても、あなたたちがいないのならば……!
聖女ルナリーが結界を張る旅から戻ると、王都は魔女の瘴気が蔓延していた。

国を魔女から取り戻そうと奮闘するも、その途中で護衛騎士の二人が死んでしまう。
ルナリーは聖女の力を使って命を削り、時間を巻き戻すのだ。
二人の護衛騎士の命を助けるために、何度も、何度も。

「もう、時間を巻き戻さないでください」
「俺たちが死ぬたび、ルナリーの寿命が減っちまう……!」

気持ちを言葉をありがたく思いつつも、ルナリーは大切な二人のために時間を巻き戻し続け、どんどん命は削られていく。
その中でルナリーは、一人の騎士への恋心に気がついて──

最後に訪れるのは最高の幸せか、それとも……?!
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
この作品を読む


▼行方知れずになりたい王子との、イチャラブ物語!▼

行方知れず王子
イラスト/雨音AKIRAさん
行方知れずを望んだ王子とその結末
なぜキスをするのですか!
双子が不吉だと言われる国で、王家に双子が生まれた。 兄であるイライジャは〝光の子〟として不自由なく暮らし、弟であるジョージは〝闇の子〟として荒地で暮らしていた。
弟をどうにか助けたいと思ったイライジャ。

「俺は行方不明になろうと思う!」
「イライジャ様ッ?!!」

側仕えのクラリスを巻き込んで、王都から姿を消してしまったのだった!
キーワード: R15 身分差 双子 吉凶 因習 王子 駆け落ち(偽装) ハッピーエンド 両片思い じれじれ いちゃいちゃ ラブラブ いちゃらぶ
この作品を読む


異世界恋愛 日間4位作品
▼頑張る人にはご褒美があるものです▼

第五王子
イラスト/こたかんさん
婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。
うちは貧乏領地ですが、本気ですか?
私の婚約者で第五王子のブライアン様が、別の女と子どもをなしていたですって?
そんな方はこちらから願い下げです!
でも、やっぱり幼い頃からずっと結婚すると思っていた人に裏切られたのは、ショックだわ……。
急いで帰ろうとしていたら、馬車が壊れて踏んだり蹴ったり。
そんなとき、通りがかった騎士様が優しく助けてくださったの。なのに私ったらろくにお礼も言えず、お名前も聞けなかった。いつかお会いできればいいのだけれど。

婚約を破棄した私には、誰からも縁談が来なくなってしまったけれど、それも仕方ないわね。
それなのに、副騎士団長であるベネディクトさんからの縁談が舞い込んできたの。
王命でいやいやお見合いされているのかと思っていたら、ベネディクトさんたっての願いだったって、それ本当ですか?
どうして私のところに? うちは驚くほどの貧乏領地ですよ!

これは、そんな私がベネディクトさんに溺愛されて、幸せになるまでのお話。
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
この作品を読む


▼決して貴方を見捨てない!! ▼

たとえ
イラスト/遥彼方さん
たとえ貴方が地に落ちようと
大事な人との、約束だから……!
貴族の屋敷で働くサビーナは、兄の無茶振りによって人生が変わっていく。
当主の息子セヴェリは、誰にでも分け隔てなく優しいサビーナの主人であると同時に、どこか屈折した闇を抱えている男だった。
そんなセヴェリを放っておけないサビーナは、誠心誠意、彼に尽くす事を誓う。

志を同じくする者との、甘く切ない恋心を抱えて。

そしてサビーナは、全てを切り捨ててセヴェリを救うのだ。
己の使命のために。
あの人との約束を違えぬために。

「たとえ貴方が地に落ちようと、私は決して貴方を見捨てたりはいたしません!!」

誰より孤独で悲しい男を。
誰より自由で、幸せにするために。

サビーナは、自己犠牲愛を……彼に捧げる。
キーワード: R15 身分差 NTR要素あり 微エロ表現あり 貴族 騎士 切ない 甘酸っぱい 逃避行 すれ違い 長岡お気に入り作品
この作品を読む


▼あなたはまだ本当の切なさを知らない▼

神盾列伝
表紙/楠 結衣さん
あなたを忘れるべきかしら?
あなたを、待っていたかった──
 愛した者を、未だ忘れられぬ者を、新しい恋をすることで上書きはできるのか。

 騎士アリシアは、トレジャーハンターのロクロウを愛していた。
 しかし彼はひとつの所に留まれず、アリシアの元を去ってしまう。
 そのお腹に、ひとつの種を残したままで──。

 ロクロウがいなくなっても気丈に振る舞うアリシアに、一人の男性が惹かれて行く。
 彼は筆頭大将となったアリシアの直属の部下で、弟のような存在でもあった。
 アリシアはある日、己に向けられた彼の熱い想いに気づく。
 彼の視線は優しく、けれどどこか悲しそうに。

「あなたの心はロクロウにあることを知ってて……それでもなお、ずっとあなたを奪いたかった」

 抱き寄せられる体。高鳴る胸。
 けれどもアリシアは、ロクロウを待ちたい気持ちを捨てきれず、心は激しく揺れる。

 継承争いや国家間の問題が頻発する中で、二人を待ち受けるのは、幸せなのか?
 それとも──

 これは、一人の女性に惚れた二人の男と、アリシアの物語。

 何にも変えられぬ深い愛情と、底なしの切なさを求めるあなたに。
キーワード: R15 残酷な描写あり 魔法 日常 年の差 悲恋 騎士 じれじれ もだもだ 両思い 戦争 継承争い 熟女 生きる指針 メリーバッドエンド


▼恋する気持ちは、戦時中であろうとも▼

失い嫌われ
バナー/秋の桜子さん




新着順 人気小説

おすすめ お気に入り 



また来てね
サビーナセヴェリ
↑二人をタッチすると?!↑
― 新着の感想 ―
「ヘタレヒーロー企画」から拝読させていただきました。 ヒーローもヘタレですが、ヒロインも大概ですね。 我が身を削って、この国の血統を守った国王陛下、あなたは名君です。
[良い点] 再々再々再読?させていただきました。 何度読んでも本当に面白いです! ヘタレヒーロー企画作品として読むと、ダミアンのヘタレっぷりがますます味わい深くて楽しめました!! [一言] この度は企…
[良い点] テンポも良くて面白いですね。 3人とも可愛かったです。 「それな」癖になりますよね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ