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ママ(フェンリル)の期待は重すぎる!【Web版】  作者: 人紀
第二十二章

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姉姫ちゃんとの再会!

 飾りが一切ない、白いワンピースを着たその人は、腰すら越えるほどの長い緑髪(みどりがみ)を結いもせず、そのまま後ろに流していた。

 白く瑞々しい肌をした顔はほどよく小さい。

 肉付きの良い胸に、ほっそりとした腰、手足がすらりと長い事もあり、人間と言うより前世フィギュアの様な作り物めいた美しさがあった。

 やや切れ上がった大きな目、その金色の瞳はキラキラと輝き、それを嬉しそうに細めながら、こちらに向けていた。

 そして、何より目を引くのはその背に広げられた、蝶のものの様な黄金色の羽だ。

 凄く綺麗なそれは、妖精姫ちゃんのものに似ている。


 この妖精ちゃん、姉姫ちゃんかな?


 そんな事を考えていると、ウメちゃんに下ろして貰ったシャーロットちゃんがわたしの腰に抱きついてくる。

 そして、「サリーお姉さま! 早く、買いに行こう?」と嬉しそうに見上げてくる。


 いや、それは構わないけど、まずは姉姫ちゃん(推定)と挨拶をせねば。


 そんな事を考えていると、近寄ってくる気配を感じ、視線を向けると、わたしの家の正面から、妖精姫ちゃんとイメルダちゃん達がやってきた。

 妖精姫ちゃんは姉姫ちゃん(推定)を見つけると、困った顔をしながら早足で近寄ってくる。

 そして、身振り手振りをしながら、ケルちゃんから降りるように言う。

 何故か、訝しげにした姉姫ちゃん(推定)だったけど、ケルちゃん――正確にはセンちゃんの首筋を軽く叩くと、その背に手を置きながら、右足を上げる。

 イメルダちゃんが「ちょ、ちょっと!」と声を漏らす。

 ワンピースの(すそ)がススっと下りて、長くてすらりとした右足が露わになったからだ。

 だけど、姉姫ちゃん(推定)は特に気にする様子もなく――そして、スカートの中を見せる事もなく――身軽な様子でケルちゃんから下りた。

 そして、わたしの方に近づいてくると――抱きついてきた!?


 え!?

 何!?


 しかも、姉姫ちゃん(推定)の胸、ヴェロニカお母さんほどではないけど、なかなかの大きさで、それがギュウギュウ押しつけられている。


 これ、Web小説系男性主人公だったら、ひっくり返ってると思う!


 いや、女の子のわたしでも、こんなに綺麗なお姉さんに抱きつかれると、ちょっと恥ずかしい!

 などとやっていると、呆れた顔の妖精姫ちゃんが姉姫ちゃん(推定)を引っ張り剥がしてくれる。

 そして、わたしに身振り手振りで言う。


 え?

 わたしが癒やした子?

 やっぱり、姉姫ちゃんだったんだ!

 お姉ちゃんが元気になって、姫ちゃん、良かったね。


 わたしの言葉に、妖精姫ちゃんは嬉しそうに頷く。

 すると、姉姫ちゃんが困惑した顔でわたしと妖精姫ちゃんを見た。


 ん?

 どうしたんだろう?


 挨拶をしなくては、って事でイメルダちゃんとシャーロットちゃんに近くへ来て貰う。

「妖精姫ちゃんのお姉さん、こんにちは。

 わたしはこの大木の下に住むサリーって言うの。

 こちらの子はイメルダちゃんで、こちらの子はシャーロットちゃん――」

と続けて、下にいるヴェロニカお母さんやシルク婦人さんの話をしたんだけど、何故か姉姫ちゃんはぎこちない笑顔でわたしに頷きつつ、チラチラと訝しげな視線をニコニコ顔の妖精姫ちゃんに向けていた。


 あれ?

 さっきから、なんだろう?


 ちょっと不思議に思いつつも、姫ちゃんに言う。

「ねえ、妖精姫ちゃん。

 姫ちゃんのお姉さんも一緒に、イチゴの蜂蜜漬けでお茶でもしない?

 あ、カーテンを選んだ後になるけど……」

 シャーロットちゃんがわたしのスカートを引っ張るので付け加える。

 勿論、シャーロットちゃんの事は忘れないよ。

 わたしが微笑んで上げると、シャーロットちゃんはニッコリとした。


 可愛い!


 ん?

 何やら、姉姫ちゃんが姫ちゃんに「はぁ?」とでも言いたげな顔を近づけている。

 それを、ニコニコ顔の妖精姫ちゃんが何やらぞんざいな感じに手で押し返している。


 あ、ひょっとしたら姫ちゃんの方がお姉さんなのかな?

 前世、Web小説でも幼そうな姉と、大人びた妹の話があったから、ひょっとしたら、この姉妹もそれなのかもしれない。

 そう考えると、姉姫ちゃんじゃなく、妹姫ちゃんかな?

 いや、呼び方は別の方が良いかな?

 話が聞けるイメルダちゃんに、そのことを聞いて欲しいと頼んでいると、姉姫ちゃんはニッコリ微笑みながら、身振り手振りをする。


 え?

 姉姫ちゃんって呼び方で良い?

 皆?

 あ、サリー(わたし)達ね、よりは姉なので問題ない?

 なら、姉姫ちゃんって事で良いかな?


 そのことを話すと、姉姫ちゃんは”わぁ~い!”って言うように、ぴょんぴょんとジャンプをする。

 いや、妖精ちゃんがやると凄く可愛らしいだろうけど、わたし達と同じサイズでそれをやられると、見てるこっちは少々困るんだけど!

 特に、その豊満な胸が凄く揺れる所なんか、目の置き場に困るんだけど!

 なんて思っていると、ジャンプしていた姉姫ちゃんが、突然、ピタリと止まった。

 そして、ぐにゃりと崩れる!?

「ちょ!」

「大丈夫!?」

 驚くわたしとイメルダちゃんを妖精姫ちゃんが制す。

 そして、近くにいた妖精メイドちゃん達に、指示を出す。

 心配するわたし達に、姫ちゃんは呆れた顔で身振り手振りをする。


 え?

 元々、絶対安静だった?

 でも、じっとしているのが苦手だから、たびたび動き回って困っている?

 だ、大丈夫なの?

 え?

 寝れば治る?

 本当に?


 シャーロットちゃんも「大丈夫かなぁ~」なんて心配そうに、ぐったりとして運ばれていく姉姫ちゃんを見ている。

 すると、姫ちゃんが笑顔で身振り手振りをする。


 え?

 大丈夫?

 そんなに(やわ)じゃない?

 それより、早く買い物をして、お茶にしよう?

 ……姫ちゃん、自分がイチゴの蜂蜜漬けが食べたいからそんな事を言ってない?

 そんな事ない?

 それなら良いけど……。


 まあ、過度に心配してもしょうがないか?

「何だったら、後で植物育成魔法を使おうか?」

と言うも、妖精姫ちゃんは”大丈夫! ありがとう!”とか身振り手振りで言う。

 そうなら良いけど……。



 わたしとケルちゃんを乗せた籠がゆっくりと地面に下りた。

 わたしが籠から下りると、行き同様、シャーロットちゃんがニコニコしながら駆け寄ってくる。

 そして、わたしの膝に抱きついた。

 可愛い!


「サリーお姉さま!

 お家、凄く良くなったね!」

「うん、そうだね」

 チラリと上に視線を向けると、妖精ちゃん達がわたしの小さい家を運んでくれているのが見えた。

 あれから、シャーロットちゃんやイメルダちゃん達と店を回り、カーテンや家具を買ったりした。

 そして、それをあの家に設置したりして楽しんだ。

 シャーロットちゃんも嬉しそうだったし、「わたくしは~」なんて言っていたイメルダちゃんも、なんやかんや言って自分の部屋の家具を真剣に選び、飾っていた。

 もちろん、わたしも頭を悩ませつつも、楽しく内装を飾っていった。


 結果、思った以上に、可愛らしい家になったと思う。


 シャーロットちゃんなんか、「シャーロットの部屋、凄く良い!」って凄く嬉しそうにしていた。

 やっぱり、シャーロットちゃんは自分の部屋が欲しいのかな?

 今は、三人で一部屋だもんなぁ~

 家の改装の時に、その辺りを考える予定だったから、勧めてみようかな?

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