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ママ(フェンリル)の期待は重すぎる!【Web版】  作者: 人紀
第十八章

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湧き水を引っ張る計画2

「おぉ~い!」

と兵隊蜂さんに手を振ると、側に来た彼はその手に留まった。


 ……いや、別に良いんだけどね。


 ちょうど良いので、ここまで結界を広げて良いか訊ねてみる。

 すると、少し考え込んだ兵隊蜂さんは、巣の方を前足で指した後、手から離れ、そちらに飛んで行ってしまう。

「あの蜂だけでは決められないんじゃないの?」

「ああ、そうか」

とイメルダちゃんの言葉に頷いていると、お供を連れた女王蜂さんが飛んできた。

 そして、わたし達の側に立つと身振り手振りをする。


 え?

 現状、ここまで伸びると移動が阻害されて、蜜集めに支障が出る?

 でも、巣の北の方にシナの木やサトウカエデを数本ずつ、育ててくれたら問題ない?

 まあ、それぐらいは――。


 そこに、イメルダちゃんが割り込む。

「三本!

 育てるのは三本で!

 シナの木二本、サトウカエデ一本で保障は十分でしょう!?」

 すると、女王蜂さんが首を振り、”シナの木五本、サトウカエデ三本!”と身振り手振りする。

「流石に多いでしょう!

 精々、シナの木三本、サトウカエデ一本!」

 女王蜂さん、首をさらに振り、”シナの木四本は譲れない!”と身振り手振りをする。


 ぽかんとするわたしを置いて、イメルダちゃんと女王蜂さんは白熱するのだった。



 交渉が終わり、女王蜂さんが帰って行くのを見送りながら、イメルダちゃんは窘めるように言う。

「駄目よ、サリーさん!

 サリーさんの植物育成魔法は素晴らしい技術なんだから、安売りしちゃ!」

 イメルダちゃんの素晴らしいネゴシエーターっぷりにわたしは「はい……」と答えるしか無かった。


 最終的に、シナの木四本、サトウカエデ一本を育てる。

 育てる場所の伐採はこちらが行い、それらの代わりに、湧き水が湧く場所を含むこの辺り近辺の巡回を受け持って貰い、何かあったら鐘を鳴らして貰う。

 また、定期的に巣の周りの花を整備する事を条件に、蜂蜜を週に一回、壺一つ分貰う事も同意した。


 笑顔でがっちり握手をするイメルダちゃんと女王蜂さんを見ながら――わたしでは”こう”はなれない、などと遠い目になってしまった。


 そんな事をやっていると、近衛兵士妖精の黒風(こくふう)君が小袋を持って飛んできた。

 家からシナの木とサトウカエデの種を取りに行って貰ったのだ。

 因みに、物作り妖精のおじいちゃん達はいったん帰って貰った。

 イメルダちゃんにも帰って貰おうと思ったんだけど、「契約の履行を見守る」との確固たる信念の元、残っている。

 多分、わたしが追加で育てないように見張っているのだと思う。


 うん、まあ、いいけどね……。


 黒風君から種を受け取り、巨大蜂さん達の巣に移動する。

 巣の周りを飛ぶ、巨大蜂さんの群れにイメルダちゃんが顔を引きつらせていたけど、まあ、慣れれば問題ないのでそのまま北東に向かう。

 そして、兵隊蜂さんが指示する場所の伐採を行った。

 切り株を引っこ抜いた場所を白いモクモクで平らにし、シナの木の種を落とした。

 すると、ライちゃんがわたしの腰を鼻で突っついた。


 ん?

 何?

 え?

 ライちゃんがやるの?


 場所を譲ると、ライちゃんが顔を下ろし、地面に落ちている種に息を吹きかけた。

 すると、発芽したそれは、ニョキニョキと育っていく。

 おぉ~木でも問題なく育っているね。

 わたしが感心していると、ポカンとした顔でそれを見ていたイメルダちゃんが凄い形相で詰め寄ってくる。

「ちょ!

 サリーさん!

 どういうこと!

 これ、ライちゃんが育てたの!?」

「うん、そうだよ。

 凄いでしょう?」 

 わたしが自慢するも「なんで教えてくれなかったのよ!」とお叱りの言葉を頂戴してしまった。


 えぇ~


「ライちゃん、凄いわ!

 これで、サリーさんがいなくても大丈夫ね!」


 えぇ~

 わたし、戦力外!?


 イメルダちゃんが「ライちゃん、凄いわぁ~! 凄いわぁ~!」と褒めるので、ライちゃんは自慢げに胸を反らしている。


 ……なんだか、寂しいんだけど!?


 ふと、レフちゃん、センちゃんと目が合う。

 なんだか、わかり合ったわたしは、がしっと二首を抱きしめるのだった。


――


 ライちゃんと共に女王蜂さんの要望通り木を育てた後、手早く、湧き水の場所まで結界を広げる。

 その後、イメルダちゃんがライちゃんに「育てて欲しい種があるの!」と言い出したので「それ、お姉様も出来るよ?」とすり寄ったのだが、「サリーさんは町に行くんでしょ! もう行って良いわよ!」と顔を押し戻されてしまった。


 お姉様、悲しすぎる!


 とはいえ、やらないと行けない事はさっさと終わらせたいので、町に行く準備をするために、家の中に入る。

 ムカデ君達の様子を確認するのだから、今日は荷車を持って行けないなぁ。

 一応、籠ぐらい背負っていこうかな?

 うん、そうしよう。

 そんな事を考えつつ、フェンリル帽子を被っていると、近衛兵士妖精の(うしお)ちゃんが飛んできた。


 ん?

 今日も付いてきてくれるの?

 でも、お店とか寄ってる予定は無いよ?

 それでも構わない?


 ならいいかな? なんて思っていると、妖精姫ちゃんが飛んでくる。

 そして、身振り手振りをする。


 え?

 ロック鳥さんに狙われる可能性があるから、潮ちゃんじゃ駄目?

 力不足?


 潮ちゃんが”大丈夫!”とアピールするも、呆れた顔をした妖精姫ちゃんに”不覚を取っておいて、良く言う”というジェスチャーを返されシュンとしてしまう。


 ……黄色大蛇(だいじゃ)君の事だったら、わたしも不覚を取った一人なので、凄く気まずいんだけど。

 などと苦く思っていると、妖精姫ちゃんが別の方を指さす。

 すると、近衛兵士妖精の白雪(しらゆき)ちゃんがにこにこ笑顔で飛んできた。

 そして、わたしの前までやってくると”任せて!”と言うように胸を張った。


 勇まし可愛い!


 仮にロック鳥さんと戦闘するのであれば、うっかりしそうな潮ちゃんより、しっかり者の白雪ちゃんの方が、確かに良い。

 唇を尖らせている潮ちゃんには「また今度ね」と言いつつ、白雪ちゃんを胸の中にしまう。


 そして、籠を背負うと、ゴロゴロルームの中にいるヴェロニカお母さん達に「行ってくるね!」と声をかけ、籠の中に飛び乗ろうとするスライムのルルリンをキャッチ アンド リリースしつつ、「従魔登録後、ね!」と言い聞かせ、外に出る。


 畑の所で何やらやっているイメルダちゃんやケルちゃんに「行ってきまぁ~す!」と手を振り出発した。


 森を駆けていると、いつもの彼ら、白狼君達が併走してくる。


 あ、そういえば、ムカデ君の様子を見に行くの、ケルちゃんと一緒に行こうと思ってたんだ。

 ……まあ、いいか?


 などと思いつつ、川を越え、草原に出た。


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