仙人掌の神は
枯れ草が
風に飛ばされて行く
町の中にある田畑の脇道には
タイヤで踏まれた枯れ草が
路面の石に食い込み
べたりと貼り付いている
その上を蜻蛉が飛び回り
何も無い形から
何かを作ろうとしている
暑さに熱さで答え
厚さの無い物を見ようとはしない
猫の居る場所は少しだけ涼しい
毛皮の生き物に倣い
近い位置に座る
何か言いたげに首を向ける猫だが
それすらも面倒なのだろう
無駄なエネルギーだと
主張するように同じ形で横になった
もしくは
何かを納得したのか
少し考えようとしたが
面倒だったのでやめた
10分ほど休んでから立ち去った
太陽の下で死滅する命もあれば
どれだけ居ても
元気なままの命もある
仙人掌はいつの間にやら立派になり
他人を寄せ付けないほど
大きな棘が出来ている
あんなに小さかったのにという観照は
他生物には
どうでも良いことだ
鉢の植え替えをしなければならない
それだけの存在であり
それ以上を求めるほど
他生物に神は居ない
人間だけの道具は
道具として使えているのだろうか
欲望を操れず
自らの種を納得できずに
他生物へと求めては
個体として欲望を操れず
個体として納得できずに
別の個体へと求めているのである
我儘として生まれて
我儘として消えていくのが
唯一の生き方となっているのだろう
役に立たないから
神という道具を作れたのだ
自らが役に立つのであれば
神という道具は使えなくなる
変化を見ればそうであるのだ
神を道具にしない部分が
多くなれば多くなるほど
人は自らを納得する物であり
欲望を操れるようになるのである