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あの日、空は紫色だった  作者: アナ
9/30

~過去~別空間でのはなし

更に一年ほど前。

その日私は生徒会室に呼び出された。


何もしてないんだけどなぁ~

それとも雄介のこと?


何の話になるのか頭を巡らせる。


扉をノックすると「どうぞー」と夏希先輩の声が聞こえた。

私は扉を開けた。

普段、生徒会のメンバーや先生方が入れ替わり入ってくる生徒会室だが、今日は夏希先輩とおにぃしかいなかった。

しかし…

一歩入ってそうでないことに気づく。

「わざわざ、生徒会室そっくりの別空間を作るなんて、そんなに大事な話なんですか?」

「まあ、ちょっとね。

でも、なかなかの完成度でしょ?」

夏希先輩が楽しそうに話す。

これは、夏希先輩が能力を使って作った、生徒会室そっくりの別空間。

細部までこだわってるのが一見しただけでわかる。

たく…こんなことに能力を使うとか…

夏希先輩は普段は大人っぽくて頭も良くて、高校生もいるなかで、中2で生徒会長になるほど周りからも慕われている人だ。おにぃとは同い年。おにぃでさえ、中2にしては大人っぽくてかっこいいと思うのに、この人はその倍をいく。

ただ、時々こういうわけのわかないことをする。

私は夏希先輩に促されソファーに座る。向かいには夏希先輩、その隣にはおにぃが座った。

今日のおにぃは兄としてではなく、生徒会の一員(この当時は会計)として話がしたいらしい…

席についたとたん、夏希先輩がいつものキリッとした目付きに変わる。

「実は昨日、転校生が入ったの。」

能学では突然、転校生が来るのは珍しいことではない。急に能力が開花した子たちが能学の生徒に連れられてきたり、家族に連れられてきたり、政府関係の人に連れられてきたり…と、時期を問わず転校生がやってくる。

「梓ちゃんには、その転校生の教育係をしてほしいの」

言っている意味がわからなかった。

新しく入った子は、能力の勉強についていきなり同い年の子たちのクラスで一緒に勉強してもついていけるわけがない。そのため、能力の勉強は下の学年のクラスに混じったり、教育係が着いて教えている。ただ、その教育係はだいたいいつも生徒会メンバー。私は雄介以外やったことがない。雄介の時は能力の関係性が有るから私がやらざる終えなかったけど、ここにはおにぃという、知識もコントロール度も有って何度も教育係をやっている人がいるのに、なんで私に頼むのだろう?

「お前、能力の出現について興味もってたろ?その研究に役立つかもしれないって、夏希が判断したんだ。」

私が困っていることに気づいておにぃは口を開いたと思うけど、ますます意味がわかない。

「実は今回の転校生、16才なの。」

その言葉で夏希先輩とおにぃが何を言いたいのかだいたいわかった。

能力は基本10才前後までに出現する。それ以降に出現することはほとんど無い。

私は今までに1人だけ有ったことがある。

その人は12才だった。12才でも珍しいが、記録上では数回確認されている年齢ではある。

16才…

私が知る限りでは記録上でも無い。

統計が本格的にとられ始めたのが50年前ぐらいという問題は有るが、それでも16才って…

「つい最近、能力が出現したんですか?その人…」

私は夏希先輩に確認した。

「うん、そうなんだよね~。つい最近出現して、危険能力ってことで、警察から連絡が有って、昨日私が迎えに行ってきた。」

「危険能力?」

「赤い目の能力って知ってる?」

私は一瞬驚いてから頷いた。

赤い目の能力。

無力の能力と同じくらい超が付く危険能力。

赤く光ったその目を5秒見つめれば気を失い、10秒見つめれば死に至る。

30年以上も前にロシアで1人確認されたのみ。

そんな能力があることを知ってから正直怖すぎて存在して欲しくないと思っていた。自分がその能力者じゃ無いことにホッとした。

夏希先輩がわざわざ別空間を作ってまで話をしたのは、他の生徒を不安にさせないためだろう。


赤い目の能力者

ついに現れた

しかも、こんな近くに

危険能力保持者に能力のコントロールの仕方を教えるのは、それに対応できる能力を持ってなければ難しい。

私はもう1つの能力で対応できる。

そして何よりこの頃の私は能力についてとても興味を持っていた。おにぃが言った通り、能力の出現、今回の場合はなぜ16才になってから現れたのか。

そして統計がとられてから1度しか現れたことのない赤い目の能力が再び現れた。

怖いと思う以上にワクワクしていた。


そして私は教育係を引き受けた。

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